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雷の鳴る帝国  作者: 葉月 優奈
プロローグ
2/56

002

雷獣、雷を帯びた力を持つ獣。

全身を雷で覆われたその獣は、普通の魔物ではない。

雷が鳴るとき、その世界に現れる圧倒的に強い獣。

人にとっては、最悪で害悪でしかない敵だ。


雷神の起こす雷によって生み出され、魔物の力を増幅させた。

夕暮れの小さな村『レモフィラ』の田園地帯で、雷獣が暴れていた。


おびえる魔法使いは、黒フードをかぶったまま震えていた。

二人の男を倒した四つ足の雷獣は、ゆっくりと近づいてきた。

雷をまとい、威圧感を放つ。

その姿、たたずまいは魔法使いの女を震わせていた。


「ダメ、こないで!」戦意を完全に失う魔法使いの女。

だけど、雷獣は魔法使いの女に向かって容赦なく飛び掛かった。


「ひっ!」

杖を持ち怯えていた女の魔法使いに、容赦なく飛び掛かる雷獣。

だが、そこに青白い光が雷獣めがけて飛んできた。

光に気づいた雷獣は、素早い反応で光を交わしていく。


その光の先には、一人の人間が立っていた。

紫色の長い髪の人間は、緑の服を着て立っていた。


その顔は、若いながらもどこか落ち着きを見せていた。

長い薄緑の髪に、コートを着た男性。


手には、不思議な剣を握っていた。

歯車がついた大きな剣は、見た目がかなりいびつな形をしていた。

警戒する雷獣は、気配を察知して身構えた。


「誰なの、あんな人は村にいない」

女の魔法使いは、目を凝らして出てきた髪の長い人物を見ていた。

それでも男は、すました顔で剣を構えた。


握った大剣は、機械の歯車のようなものが見えていた。

大きな剣は、まるで機械だ。

不思議な形状をしていて、私が初めて見た形だった。


(あの武器は、|魔法の武具⦅マジックアイテム⦆なの?

でも、見たことがない。なんという異質な武器なのかしら)

魔法使いの女は、出てきた人物の剣に注目をしていた。


機械の大剣を持った人物は、ゆっくりと身構えた。

その隣には、小さな精霊が見えた。

紫色の肌をした、上半身裸の子供。

浮いている子供と、剣を持っている人物が何やら会話をしていた。


無論浮いている子供は普通ではない。

女は紫色の子供を見て、直感した。

(あれは、もしかして……)


その数秒後、雷獣は、剣を持つ人物に向かって飛び掛かっていく。

雷の力を宿した爪が。キラリと光った。

だけど、剣を持つ人物は動かない。


「危ないっ!」

叫んだ女の魔法使いに、コートの男性は気づいた。

だけど、男性は全く動く様子がない。堂々と立ち尽くしていた。

飛び掛かったはずの雷獣を、白い光が貫いた。


剣を抜いた人物は、動くこともなくただ大きな剣を構えて身構えていた。

動いたのは、小さな子供。

白い電撃を右手から放って、雷獣を打ち抜いていたのだった。


そのまま絶命した雷獣は、その場に倒れた。

小さな子供は、すぐさま倒れたオオカミの雷獣に近づいていく。


「食べていい?」

「いいよ、ダンテ」

男はさわやかに言って、小さな子供が雷獣に近づく。

そのまま、雷獣の周りにある雷の近くで大きく口を開けた。


(あれは、まさか『白雷の妖精ダンテ』なの)

女はそれを見た瞬間、驚きしかなかった。

それは、伝説の妖精ダンテがそこにいたのだから。



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