015
民家が、田んぼから少し離れた場所にあった。
農家マグワの家は、夜でもわかる立派な家だ。
土地もあるし、庭もかなり広い。
家に着いた瞬間、銃声が聞こえた。
銃の音は、イグアスの銃。
僕は銃声を聞いて、急いで屋敷の中に入っていく。
平屋の大きな屋敷に入った、僕は驚いた、
血を流した農夫マグワが、床に倒れていた。
体には、電撃のあざがいくつも見えた。
「やったのか、イグアス?」
「何とかね」
拳銃の銃口の煙を、吹くイグアス。
マグワこそ、雷神『青雷ベルーナ』は血を流して倒れていた。
雷神とはいえ、人間の死体は見ていて気分のいいものではない。
すぐさま僕は、目を背けていた。
「イグアス、終わったな」
「雷神も終わってみれば、なんともあっけないものね」
「そうだな、雷神も人だ。神という名がついても、結局のところ人だったりする」
雷神ベルーナでもあるマグワの周囲には、針がいくつも落ちていた。
雷神が死ぬと、雷獣は力を失って普通の魔物に戻ってしまう。
彼が生み出そうとする雷獣は、力を失っていく。
あの針で、雷を落とそうとしていたのか。
しゃがみこんで、僕は針を回収していく。
だけど、イグアスが何かを感じた。
「何かいる?」
「え?」
イグアスが感じたものを、僕は感じられなかった。
次の瞬間、イグアスは僕を吹き飛ばした。
針を回収していた僕は、彼女に吹き飛ばされた。
飛ばされた僕は、おどろく顔と同時に一匹の雷獣が見えた。
「赤い雷獣」
それは、赤い電撃を放つ鼠だ。
鼠が放った赤い針は、イグアスの足元に。
それと同時に、彼女の頭から赤い雷が見えた。
僕は手を伸ばして、イグアスに駆け寄った。
だが、イグアスは反応が遅れた。
「あああっ!」
そのままイグアスは、赤い雷に打たれていた。
それは赤雷ママラガンの雷だと、僕ははっきり思い出した。
数秒後、雷に打たれたイグアス。
イグアスは黒焦げになりながらも体が、大きくなっていくのが見えた。
それを見て、僕は青ざめていた。
「イグアスっ!」
僕は青ざめた顔で、赤く光る彼女に叫んでいた。




