014
苦し紛れの針は、カエルを雷獣にした。
カエルが雷に打たれて、どんどん大きくなった。
マグワは、僕から離れるように逃げていく。
だけど、僕は冷静だ。
カエルが大きくなって、気持ち悪さも二割増しのカエル。
夜であっても、カエルが放つ電撃でしっかり見えた。
僕は立ち止まって、剣を握った。
トレノを握った僕は、カエルと距離をとった。
(大きくなったけど、僕の一撃で)
先にイグアスは、マグワを追いかけていく。
僕も、このカエルの雷獣を倒してすぐに合流したい。
「一気にいくよ!」
僕は、あっという間に距離を詰めた。
大剣のトレノを構えて、切りつけた。
だが、気持ち悪い見た目の大カエルは攻撃を仕掛けてこない。
電撃を防御に使って、腹で僕の攻撃をガードした。
弾力のあるつやつやの腹は、剣の刃が入りにくい。
(あの魔獣、守りを固めたか)
剣には、手ごたえはない。僕は、再び振り返った。
弾力のある腹は、僕の剣を弾いていた。
既にマグワもイグアスも、姿が見えなくなった。
雷獣のカエルは、再び僕をじっと見ていた。
だけど、巨大なカエルは電撃を攻撃に使ってこない。
あくまで時間稼ぎとして、この場をしのぐつもりか。
だからこそ、僕はトレノの形を変えた。
トレノの字形状が変化して、鉄の棒に変化していく。
「この一撃で!」
鉄の棒になったトレノで、僕は雷神カエルに飛び掛かった。
カエルは、あくまで守りを固める気だ。
再び電撃を放ち、守りを固めた。腹に電撃が集まっていく。
それでも、僕の鉄棒がカエルの脳天から落とされた。
落ちた鉄の一撃は、そのままカエルをつぶした。
鉄棒に押しつぶされたカエルは、二度と動かなくなった。
電撃も焼失し、同時に体が縮んでいくのが見えた。
「あとは、雷神ベルーンだけか。早く、僕も向かおう!」
僕は、すぐさまあぜ道を駆け出していた。




