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物語調の詩/短編

白い部屋

作者: 日浦海里

壁面は白い砂糖菓子のようで、

ただ一様に同じ色合いが続くからだろうか

温もりが無く

雪洞のような冷たさを感じる

壁面と同じ色をしていたであろう石段は、

人の踏み荒らした土に汚れ、

既に見る影も残っていない


石段を登りきると、

そこには木で出来た

一人分の机と椅子があり、

白と黒のモノクロの世界に

ようやく色味を与えてくれる

それでも温もりを感じられないのは、

やはりそれが無機質な色彩で、

ただ同じ色合いの漆を

塗られたものだからだろうか。

部屋の脇にある

小さな石枠の窓際に

視線を移すと

一人の少女が腰掛けていた

窓枠の先に広がる

青と白の背景に、

枠に収まる形で座る少女の姿は、

一つの絵画のようにも見える


肩まで伸びた黒髪に、

胸元の開いた漆黒のドレスが

白い肌を浮き立たせる

胸元に灯る紅い石は

空からの光りを受けて

妖しい輝きを放っていた


瞬きをすることもなく、

ただ一点を見据えている少女は、

一見すると人形のようにも見え、

しかし、時折動く胸元が

確かに生命の営みが

行われていることを示していた


白く塗り潰された無機質な世界に、

ただ一点の紅と黒


妖しく輝くその光は、

まるでそれ自体が生命であると、

そうすることで

本当は

ただの人形であるモノを

少女と見せかけているようにも見えた

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― 新着の感想 ―
[一言] 若さは無機質を求め、年を重ねて木のぬくもりを求め出す。 それは胎内のぬくもりから出た自身を感じたいからこそ冷たい無機質な物を好み 産まれ出た世の冷たさに彷徨い疲れてぬくもりを求める。 人の暖…
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