第8話 「右席(ルーフェンタムゥーナ)」
黒海の海底、コミュテーと、ブルークーヴァンの国境近くに存在する街、ナルティ・ミダリナの中心街へスタンフォード、アトラス、ルターパウゼは歩いていた。
その途中、スタンフォードの部下が、何人もやってきた。
戦時中であり、ルターパウゼの護衛をしなければならなかった。
「かつてCode800、Code900、910、920によりカスピ海の湖底が酷い惨状になったのは、帥もご存知かな??」
ルターパウゼは、アトラスへ質問してきた。
「わかりません。カスピ海の湖底にも人が住んでんすか??海底人だけだと思ってましたよ。」
「おい失礼だぞ。ちゃんとルターパウゼ大司教の質問にお答えしろ。我国の教養のなさを大司教様に知られてしまう??」
そうアトラスへ注意したのは、スタンフォードである。
「知らなくて当然ですよ。カスピ海も複雑ですからね。何やら神だとか、爆弾とか魚人だとか訳が分からなくなるでしょうから。とにかく今日は孤児院へご案内致します。最近予告状がとどいたんですよ。子供を皆殺しにするってね。」
ルターパウゼ大司教は、3日前ブルクーヴァン国軍から届いたと言われる脅迫状の存在を教えた。
それは、ユリウス聖教徒に対する脅迫だった。
ユリウス聖教徒の司教のルターパウゼに対する
ここにいるの子供達は、孤児であり、親を失った戦災孤児である。
「戦災孤児??戦争ってひでぇな。子供達を殺すってそんなの、皆殺しってことかよ??」
アトラスは、憎しみと怒りの声が湧いて来た。
あまりにも身勝手すぎる戦争理由、さすがにこの事実を聞いてしまったら、怒るのも無理はない。
「子供達は、どこにいると思う??大司教さーん????」
現れたのは右席の1人で魚人の、ローゼン=メーデーだった。
「おいまさか、追手か??」
突然家の屋根の上から1人の女が現れた。女はカジキとイワシを合わせたような姿をしている。そして手には、ハンマーのような武器を所持していた。
「あたしの力はね、血溜まりの爆発。子供達はもうこの世にいなかったりしてね。」
「おい、お前何しやがった??」
アトラスは、ローゼン=メーデーを問い詰めた。
「さあね。じゃあ見せてあげようか、これを??」
すると、ローゼン=メーデーは、男の子の生首を掴むと、生首を落とした。
「そんな、ショーン!!!
。嘘だー!!!!。」
ルターパウゼは変わり果てた、ショーンという男の子の生首の方へ駆け寄った。
結局ショーン含めて孤児院の子供達の殆どが犠牲になった。
ローゼン=メーデーは、ハンマーを振り回すと屋根から降りてきた。それを見渡したスタンフォードは、アビリティソードを解放した。
「お前の勝手になどさせんからな。」
スタンフォードのアビリティソードを解放するとブリューゲルシステムがスタンフォードの身体を包んだ。
「私は右席のローゼン=メーデー。能力は血溜まりの爆発、対象とされるものの首を爆発させる力。あんた大将軍かもしれないけどそんなの容赦なんかしないんだからね。」
ローゼン=メーデーはハンマーを振り回すと周りにいた人々の頭が爆発した。そして鮮血が噴水のように飛び散り首を失った死体が無数に倒れていた。
「あれが、ブラッドサーキュレーション。こんな風に弱い子供、女が死んでいくのが私にはたまらないの。んねぇー、だから精々そこでのたまってろよ。カス共がよー。あはは。」
スタンフォードのブリュンゲールシステムは、全身の装甲が強力な金属へと変化されていく。
これは、攻撃を受けたときに、防御力、攻撃力を倍増させる科学システムスーツであり大変強力化する、魚人に対抗するべく、コミュテー軍隊が開発した。
「てめえ、いい加減にしろよ。こんな無関係の子供まで殺して、一体何が目的なんだよ。レターパウゼ大司教様は、身寄りもない子供を引き取って大事に大事に育てていたんだぞ。」
アトラスは感情をぶつけるように、ローゼンに怒鳴りつけた。
「あーあーあー、うぜえなあ。うるせえなあ。てめえみてぇな雑魚のくせに、ウザってぇ正義感ぶつけてくるような奴、まじでうぜぇ。あーん、じゃあこうなるって言うのを教えてやるよ。」
ローゼン=メーデーがハンマーを少し振り下ろした瞬間、ルターパウゼの生首が爆発した。大量の鮮血が溢れ出して、ルターパウゼは、死亡した。
「大司教様!!!。」
スタンフォードは、剣を構えると、ローゼンへと斬撃を振り放った。
鋭い、ローゼン=メーデーは、ハンマーを振り下ろしたが、スタンフォードの首は吹っ飛ばなかった。
「貴様、何故私の能力が通用しない?。」
「ブリューゲルシステム。貴様のような能力者を無効化するためにコミュテー軍隊が開発したシステムだ。貴様の攻撃は、俺には一切聞かん。さあ次は俺の番だ。死ぬのは貴様だ。」
スタンフォードの剣から無数の風が起きると、剣先から、火花が散った。
火花は辺りを焼き尽くすと、剣の持ち手から炎の渦がでてきた。
「まさか貴様はマルチスキラーか!!!」
「それは違うな。俺は、剣先から自然現象を生成させる、焼き魚にしてやるよ!!」
スタンフォードは、炎の渦と雷撃を同時に発生させた。そして音速で移動すると、電撃のような鋭い斬撃をローゼン=メーデーへと打ち込んだ。
斬撃は凄まじい温度で爆発すると周りを吹き飛ばした。
「おいおいそれで右席とか名乗ってんのかよ。ブリューゲルシステムの対抗手段の一つくらい把握しとけって話だ。」
スタンフォードの攻撃を見たアトラスは大いに驚愕した。これが海兵能力なのか。
「だけど、ルターパウゼ大司教様はもう。」
「誰が死んだってぇ?あんたらこのあたしにここまで致命傷負わすとはやってくれえんじゃねえかよ。誰が1人つったぁ。仲間がインだよ。あたしには仲間がァ。。。うう。ぐわぁあーーーーー!!!」
ローゼン=メーデーは血を吐くと突然倒れ伏した。彼女の後ろにいたのは、コミュテー軍隊とは思えない男たちであった。
その男達は、ローゼン=メーデーを後方から刺し殺した。
「助っ人てことでやってきたぜ。スタンフォード。あぶねえところだったなぁ。」
それは、黒海の海底国10の国の一つのアーフィルアからの暗部組織である、Aの渦のメンバー達であった。