第7話 「スタンフォード将軍」
「あれはスタンフォード将軍!!黒海戦争の英雄じゃ!!!」
ゲルステンビュッフェルは、将軍を指差すとそう言った。
「おいおい偉い人に指さしちゃダメだろ??爺さん。」
アトラスは、ゲルステンビュッフェルの行動を指摘した。
「まあ、そう言うな。わしと彼は昔からの馴染みなのじゃ!!」
ゲルステンビュッフェルは、そう言うと、スタンフォードと呼ばれた将軍と目が合い彼の方へ向かった。
2人はかつて黒海戦争で共に戦った同士であった。
2人は久しい再会を祝って握手をした。
握手には長年の2人の絆が感じられた。
「ゲルステンビュッフェル!!久しぶりだな。しばらくだったか??」
「スタンフォード、君こそ元気そうで何よりじゃ!!!それよりスタンフォード、今日よりコミュテーマ軍隊へ加入した、アトラス・ブリュシエスタじゃ!!そちの元で鍛えてあげて欲しいのじゃ!!!。無論報酬は幾らでも渡す!!お願いじゃ!!!」
ゲルステンビュッフェルは、スタンフォードへそうお願いした。
「なるほどアトラス・ブリュシエスタ。感じるぞ。新人軍隊にしては物凄いマリンアビリティのパワーをな。」
スタンフォードは、鋭い洞察力と処理力を発揮した。
するとスタンフォードは、アトラスの方へやってきた。
「アトラス君。私はスタンフォードだ。宜しくな。これから君をコミッシェル特別防衛部隊の隊員として任命する。」
「俺かコミッシェルの特別防衛隊??何かの間違いとかでは??」
アトラスは信じられないような出来事に目を丸くした。
「君から感じる力は間違いなく本物だ。最強のマリンアビリティだ。これはブルクーヴァンの暗黒卿もルドウリナブーにも匹敵する。」
「ルドウリナブー??」
アトラスは初めてその名を口にした。暗黒卿は、STARWARSなどで耳にするがこの世界にもそんなのが存在するのか。
「我々軍隊は、ルドウリナブーを始末すること。今はブルークーヴァンは、勢力を拡大し、通商連合、元老院まで奴の言いなりだ。軍隊の増兵。貧困層の抹殺。全てが暗黒卿の思うつぼなのだよ。」
スタンフォードは、そういう威厳のあるオーラ以上にとても、寛大な人間だった。
「ナルティ・ミダリナに向かうんですよね。」
アトラスは、スタンフォードに質問した。
「ブルクーヴァンの魔魚人部隊である右席の抹殺が目的だがね。」
そう言うと、車のような物が現れた。
「さあアトラス、これに乗りたまえ。私の部下も既に到着している。」
スタンフォードは、そう先導すると車のエンジンを掛けた。
強力なトランスミッションによりエンジンはフルで稼働していたが、アトラスはエンジンの燃料が分からなかった。
恐らく、ガソリンではないことを確認していたが。
「不思議だろ。この車はね、全て海水を使っているんだよ。この海底でも、完璧に動ける最新の発明品だ。まあ、我が国の技術をひけらかすことはしたくないのだがね。」
そして40分ほど車を走らせると、遂にナルティ・ミダリナに到着した。
そこは、中世のヨーロッパを思わせるような遺跡に覆われた街でとても海底都市とは思えなかった。
「ここは、エドゥムントの遺跡だ。」
スタンフォードは、車から降りると、遺跡を見上げながら、紹介するように言った。
「私は、ここの遺跡の空気こそ至高だと考えていてねなんというかかつてモルフェッサの礎とも呼ばれているぐらいの独特な空気感だろ。」
スタンフォードとアトラスは遺跡の中へと入った。
「スタンフォード将軍お待ちしておりました。」
「これはこれは、ルターパウゼ・リル・エヴィ大司教様でありませんか??」
(なんやその名前??、変だな。)
アトラスは心の中でそう思った。確かに、ヨーロッパ人という感じがしない名前だ。
「このお方は、アレドゥス神院の大司教様でね。ウンペード・オルトゥナを祀っていらっしゃるのだ。」
何やらカタカタが増えてきたようだ。
アトラスの頭は混乱に陥り始めた。
「ウンペード・オルトゥナって??」
アトラスは、スタンフォードへ質問した。
「かつてコミュテーが戦争により凄い被害を受けた時に、この世界を守った、海の七神の神の1人だ。。ブルクーヴァンの奴らはそいつの力を悪用しようとしているのだからね。それでは街に行くとするか。アトラス付いて来たまえ。」
スタンフォードは、アトラスを連れて街の中心部へ向かった。