第3話 「コミュテー軍隊病院で」
はっと目が覚めた。貴詞の足には包帯が巻かれており足からは激痛がした。同時に火傷もした。そこは病院の一室だった。
「痛ってーな、そうか俺は脱出しようとして」
「目が覚めたようだな。陸上人よ!!!」
その声は、ゲルステンビュッフェルだった。
どうやら、あの日脱走しようとした貴詞を助けてくれたらしい。
「あんたか!俺を助けてくれたのか?」
貴詞はゲルステンビュッフェルの方を見つめるとそう話した。
「全く馬鹿な奴だな。逃げようとしたら捕まっちまうのは当然なのになー。とにかくお前は普通じゃったら死刑じゃぞ!」
「そんな死刑だなんて!、とにかく帰してくれ。花音にも会いたいんだ。」
「無駄じゃ、ここは黒海の深海の遥か先。それにな陸上人にワシらの秘密を知られた以上返すわけには行かん!」
「あんたら本当に海底人なのか?、そんなはずがねえ。海底人なんかドラえもんの映画でしか見たことねえ!、なんで海底なのに息が出来んだよ?海底人はムーとアトランティスだけじゃなかったのかよ!」
「我々はアトランティスの生き残りだ。正確にはアトランティスは7000年前に滅んだんじゃよ。核実験に失敗してな!。なんとか国外にいたアトランティスの生き残りは大西洋から近海へと身を移したわけじゃ。我々は黒海第4王国コミュテー王国人であり、わしは海兵ゲルステンビュッフェルじゃ。」
ゲルステンビュッフェルはそう話した。どうやらこの国はアトランティスの生き残りらしいのだ。
「お前の事は脳波を調べる際に調べさせて貰ったよ!陸上人であり太平洋から来たということもなー!」
「あんたアトランティスの生き残りっつたよな?」
貴詞は聴いた。
「そうじゃ、7000年前はな。我々アトランティスは元々大西洋バミューダで大きな連邦を築いておった。
無数の小さな国が集まっていたがな。
対するムー連邦を陥れる為に核兵器を作ったのじゃよ。
しかし7000年前核実験に失敗し国中に放射能が広がったのじゃよ。
アトランティスは滅亡した。しかしな、国は滅んだが全員が死んだーわけじゃないのじゃ。
生き残ったアトランティスの人々は、大西洋近海へ逃げ、そこに新しい国を創ったのじゃ。黒海や地中海、エーゲ海などにな。
我々の祖先は、この黒海に国を創ったのじゃよ。だがなひとつの国の中で内戦が勃発したのじゃ。長い歴史の中で内戦を繰り返し、遂には10の国に分裂したのじゃ。だがらな今我々の国は他の9の国と戦争しておるのじゃ!!!だが侮ってはならん。他国の奴らは核兵器を保有しておる。元々アトランティスの核兵器は太平洋を焼き尽くす為に開発されたからなー。」
その話を聞いて、貴詞は驚愕した。
その話が余りにもドラえもんの話と同じだったからだ。
(そんなはずはねえ、まさか本当だったのかよ!、アトランティスが海底の国だったとか!)
「そんな、戦争なんて!!!なあ俺はな、陸上にいた時にあんたらアトランティスの話を聞いていんだよ。あんたらアトランティスが核兵器を作ってたって話も全部。俺が昔見た映画にそっくりなんだ。だとしたらあんたらは鬼核団ってボタンひとつで世界を焼き尽くすような恐ろしい兵器を持ってるんだろ?。」
するとゲルステンレスビュッフェルは血相を変えて聞いてきた。
「なんじゃと!!貴様、なぜ鬼核団の存在を知っている!!そうかたらしょうがないな。鬼核弾は、世界各地に散らばっとる。この黒海にもな。隣のブルキエラ帝国が、鬼核団を保有しとる。?」
「違う、俺は別にムーのスパイじゃない!ただ聞いたことがあるんだ!!核兵器が発射されたらあんたらだって無事じゃすまねえだろ!そうなったら俺らの国だって無事じゃすまねえ。だから俺も協力させてくれ!俺は陸上に何としても戻りたい。」
「そうか。ならば、陸上人よ。我々とともに戦うか?貴様の名前も全て変わることになるが、どっちにしろ陸上人、貴様はこのままでは死刑じゃ。我々に協力し、海底人としての市民権を得れば、命は助かるがな。」
ゲルステンビュッフェルはそう提案した。今選択している余裕はなかった。
「しょうがねえ。俺だって死ぬたくはねえし、あんたらに協力させてくれ。頼む!!!」
貴詞は病室で必死に訴えた。確かに死刑になるのが1番タチが悪い。
「よろしい、ならば今から特殊な光線を当てる。そうすればお前も海底人じゃ!」
「ちょっと待て話が違ぇぞ!!!俺は別に海底人になりたいとは言っていない!!!おい待てジジィ!!!」
ゲルステンビュッフェルは部屋を出ると、隣の一室へ移動した。そして何やら機械をいじり始めた。
ゲルステンビュッフェルが特殊な光線を当てると貴詞の身体が異変を起こした。
ゲルステンビュッフェルは、部屋へ入ってくると、貴詞の方を見ると話しかけた。
「これでお前は陸上へ上がる事も許されなくなった。お前の名は今日から、アトラス・ブリュシエスタじゃ。よろしくなアトラス!!!」
ゲルステンビュッフェルによって貴詞は勝手に名前をつけられた。結果的にアトラス・ブリュシエスタと名乗ることになってしまった。
「俺の名前はたかみザワ、、、、あれ何だっけ思い出せねえ!」
記憶が薄れてきた。どうやら、名前が思い出せなくなった。
「アトラス、調子はどうだね。」
毎朝、何故かゲルステンビュッフェルは見舞いに来ていた。
「いつまでこんなとこで寝てりゃあいいんだよ。確かにやけどはだいぶ落ち着いた。しかしなあ俺は家もないし。あんたの家に居候するわけにもいかないし。」
病院へ入院して既に10日が経っていた。
「お前の道は決まっておるー。コミュテー海兵に志願するのだ。家はそうだなー、多分軍が用意してくれるんじゃなかろうかねー。」
ゲルステンビュッフェルは曖昧な答えを返した。冗談じゃない、軍隊へ入るなどもっての他だった。
「ふざけんなよ。俺は陸上人だぞ。そんな力もねえし。第1死にかけてんのに。」
アトラスは勝手な判断に怒りが込み上がって来た。
「簡単な話じゃ。お前に素質があるかどうかは我々が判断する。もちろん受かれば、ダラス隊長の元に就く事になるじゃかろうがな。だがなこれは戦争じゃ。我々は軍隊じゃ。隣国のやつらを殺さなければ我々は生きていけんのじゃからな。」
すると、アトラスはゲルステンビュッフェルに質問した。
「あんた、コミュテーの国のやつらは黒海を征服したいとか言ってたよな。まさか、1人1人隣国とか他国の人々殺していくのかよ?」
「良いか、他の国にはな魔魚人がいるのじゃ。奴らは我々が戦っても勝てるべき相手じゃないのじゃ。奴らに対抗できる素質を持つものは一等海兵のみなのじゃ。我々二等海兵にはなその資質がないのじゃ。わしがお前の身体を調べた時にな分かったんじゃ。お前には素質がある。一等海兵になる素質がなー。」
ゲルステンビュッフェルはそう啖呵を切った。