第1話 「謎の潜水艦」
第1話「謎の潜水艦」
はっと目が覚めると、貴詞は船の中にいた。
ベットに横たわっていることに気がついた。
だが暫くしてその船が海面上を走る船ではないということを十分理解した。
潜水艦だった。しかも、かなりの大きさの。
「これはまさかノーチラス号????
そんな訳ねえよな。だってここは現実だし。」
夢かと思い、自分のほほを抓った。
「いてぇ!!!」
これは夢じゃないという事を理解した。
「これはこれはお目覚めのようだね。」
歳を取った太った男が入ってきた。
「誰だ、あんた????」
貴詞はそう質問した。
「おや助けてくれた命の恩人に向かってその言い草は何かね???君は、海底を意識不明のままずっと彷徨っていたのだぞ。それを私たちが拾って上げたのだからな。」
「あんたもしかして海底人???」
貴詞は驚愕した。その昔、ドラえもんの映画で海底鬼岩城という映画を観たことがあった。また小さい頃海底二万里という本を読んで海底人の存在について考えたことがあった。
今もしかして、その世界へ来てしまったのか。
「いかにも私たちは、マリンワールド王国、コミュテー王国から来たものだ。」
(コミュテー、なんだよそれ)
「それより、花音は、どこですか?俺と一緒に釣りしていた同い年くらいの女の子は??俺達は地上へ帰れるんですか」
すると、男はこう答えた。
「女の子???知らんなー。とりあえずこの船に乗ってしまった以上は、帰る方法はない。」
「ないだと。ふざけんな!!助けてくれた事にお礼は言う。だが俺には明日仕事もあるんだぞ。」
すると、急に痛みが襲ってきた。
おそらく海水へ放り出された時の痛みがまだ残っていたのだろうか。
「いきなり唐突ですまないね。艦長が、君に話があるんだ。明日艦長と挨拶をしよう。わしの名はゲルンステンビュッフェルじゃ!!!。とりあえず今は安静にしていたまえ。おやすみなぁ!!!」
ゲルンステンビュッフェルと名乗る老人は部屋を出ていってしまった。
「おいちょっと待て、話は終わってないぞ。おいじいさん!!!。」
貴詞は部屋を出るとゲルステンビュッフェルを追いかけた。
しかしゲルステンビュッフェルはいなかった。
(畜生、俺は地上の世界へ戻れるんだろうか。くそこんな狭い潜水艦に閉じ込められて、よし逃げ出すかー。)
夜、明らかに静かになったので貴詞は起きて目を覚ました。これから地上の世界へ戻らなければならないし、花音ももしかして生きているかもしれないと思った。
「さて、潜水ボートはどこだ?」
貴詞は潜水艦の艦頭に向かって走っていた。真っ暗でほぼ視界が見えない中、懐中電灯だけが頼りだった。
すると搭乗口の付近に一室が見えた。
「待て、こんな時間に何をしている?」
すると、後ろに男の気配を感じた。潜水艦の警備員かもしれない。
(くそー見つかったかーー!!!)
「こうなったら、逃げるしかねえーー」
貴詞はその一室へ逃げ込んだ。するとそこには脱出用のボートが置かれていた。
(これで脱出できればーーー。)
「おい地上人はどうしたのじゃー!」
ゲルンステンビュッフェルは、貴詞がいないことに気づき、部下を起こしに行った。
「ちくしょうあのガキめ逃げやがったな」
「隊長、大変です。脱出用のボートがありません。」
部下の1人、オルファントが報告した。
「なんじゃとそう遠くヘは行ってないはずだ探せ!!!」
ゲルンステンビュッフェルと部下達は、ボートに乗り、貴詞を追った。
その頃、貴詞は潜水艦から出て、ボートで地上へ向かっていた。
「くそーこんな所、ずっといられっかよ!!地上へ帰るんだ!!地上へ」
しかしここは黒海の最深部からさらに底の場所だった。海上へ浮上するには、距離が遠すぎた。
「畜生!!ったく、水の流れが早くて、場所がつかめん、辺りも真っ暗だし。とにかく上へ行きゃいいのか!!くそー」
操縦室からスコープで、水中を除き込むと、上方にオキアミのような小生物は浮いている。
貴詞は、ボートを上方へ旋回させると、上へ向かっていた。
しかし、上へ行けば行くほど海流の流れが激しくなっていく。
「海流にのまれたらおしまいだぞ!!」
その時、後ろから物凄いスピードで何かが接近している気配がした。
「どーーーーーんん!!!!!」
凄まじい音が鳴り響くと、追ってきた海兵部隊達が貴詞のボートを撃墜していたのだ。
「くそーーー、やられた!!!!」
貴詞は、ひっくり返るボートに目が回りながら、海底へと沈んでいった。
「この野郎、俺はこのまま死ぬのか-」
「ボートを回収しろ。地上人は引っ捕らえるのだ。」
海兵部隊のゲルンステンビュッフェルは操縦席から指示を飛ばした。
「隊長、奴は逃げ出したのです。生かしておけば、我々の存在が、他の陸上人にバレてしまうのでは??」
隊員のオチェネシュコヴァーは、意義を唱えた。
「やつはどっちにしろ死刑だ。だがせっかく捕まえた陸上人だ。殺すのももったいない。おい奴の機体を回収しろ。」
「は!!!」
オチェネシュコヴァーは、レーダーで沈むボートの位置に照準を合わせると、艦尾から長い牽引レッカーが出され、貴詞の乗るボートを拘束した。
「奴は潜水艦の中の牢獄で引っ捕らえる。」
回収されたボートから傷だらけになった貴詞が発見された。身体は激しい骨折が目立ち、すぐに潜水艦の救護班によって治療が施された。
「やつは虫の息ですね。」
ベットで眠り続ける、貴詞を見てオーヴェクは言った。
「こいつが意識を取り戻してから話はそれからじゃとにかく奴を王国の軍隊病院へ連れていくようわしが艦長へ話をつけてくるわい。」
ゲルンステンビュッフェルは、艦長のゲオルグのいる艦長室へ入った。
「誰だ」
部屋の中から艦長の声がした。
「艦長失礼致します。海兵部隊隊長のゲルンステンビュッフェルです。逃亡していた陸上人を引っ捕らえたのですが、やつは意識不明の重体です。軍隊病院へ送った方が良いですかな?」
ゲルンステンビュッフェルは艦長へそう提案した。
「ゲルンステンビュッフェルか、そうか奴を引っ捕らえたか。全く馬鹿な陸上人だな。捕まるのを分かっていながら、、、よろしいそいつはシミューテの軍隊病院へ連れていけ。」
「は、かしこまりました。」
ゲルンステンビュッフェルは同意した。
「全く、我々の黒海計画を奴に知られてはおしまいだからな。」
「隊長どうでしたか??」
オーヴェクはゲルンステンビュッフェルに聞いた。
「奴は、軍隊病院へ送ることになった。なーに意識が戻ったところで奴の死刑は確定しとる。」
ゲルンステンビュッフェルはそう確信していた。