第15話 「ユリウスの法の書」
隣の部屋に続く扉を開けるとそこには無数の書物が置かれていた。そして魔導書と思わしき数々の書物。何千ページと書かれた魔導書1冊を片手にミシェル・クロイツェルは席へと腰掛けた。それこそはユリウス・ケセウスが記したとされる帯びただしい数の魔導術。礼装、そしてマリンアビリティの真実と古代アトランティスの謎の全てが記されていた。
「これはユリウスが記したとされている旧約聖書『法の書』です。ユリウスは偉大な宗教者でした。そして魔道士としても一流でした。海底人が海底で生活するように魔術を作り、この世界の全てを想像したのです。バミューダ海域にてアトランティスが栄えている時代から生きていて、魔族が生み出した超進化生命体の魚人の開発にも関わったとされています。そしてユリウスの弟子であり、後にカスピ海帝国に渡った魔道士が、アメイディオ・リレイツォ。そう新訳聖書を記しカスピ海帝国建国に関わったされているのです。そしてユリウスは、核兵器の開発に加わったとされています。それはムー大陸に核兵器の威力を知らしめる為でした。」
「核兵器ってそれは化学物質から作り出すものではないのですか??鬼核弾の存在も、それを操る高性能コンピューターの事も。」
その事実をアトラスが知っている事はミシェルは想定していなかった。
「ポセイドン、、何故やつの存在を知っているのです???
ポセイドンは再び活動を始めたのです。バミューダ海域の沖に海底火山が噴火したのです。それを敵の攻撃と察したポセイドンは太平洋を焼き尽くすつもりなのです。だが今の私達には、ポセイドンを止める兵力も残っていないのです。しかし、ブルクーヴァンにはポセイドンと意思を共有するコンピュータが存在します。それを城郭ごと破壊し、ブルクーヴァンの暗黒卿を暗殺する以外に道はないのです。」
「ブルクーヴァンのトップは??一体誰が、、国を操っているのですか??」
「ルドゥリナブー、そして、デュヴェルス・スドゥルクト皇帝。デュヴェルスはユリウスが開発したとされている聖剣『アロンダイト』を所持しているとされています。そして聖剣を手にしたことにより20の最強の魚人は魔魚人へと進化を遂げました。その中でも、5人の魚人によって4つの組織が構成されているのです。
アトラス。あなたが戦った右席もその組織の一部です。
組織名は、右席
左席、隷族部隊、そして精霊部隊。皆恐るべき力を所持しています。私は命を狙われているのです。」
「なんて奴らなのでしょうか。そんな危ない連中を俺に殺せと奴らは申しているのでしょうか??帝国議会は一体どういうおつもりで。。」
アトラスは自分に置かれた立場をふと理解した。そして恐るべき事態を察した。
「私はルドゥリナブーが居るのは、、エヴェスト城が怪しいと睨んでおります。そして帝国議会が行われるのです。ブルクーヴァンの暗黒卿ももちろん参加するでしょう。そして隷属部隊のブレウスマ卿も、顔を見せるのです。アトラス、あなたにはその時に護衛をお願いしたいのです。それだけではなく、ブレウスマ卿の、、奴をつけて忍び込むのです。魚人の城郭のルンフェスタ城に行き、魚人を殺すのです。」
「ブレウスマ卿??魚人のスパイという事ですか??」
アトラスは不思議に思い、ミシェルへと質疑をした。その正体も全く未知なる存在である魚人。話を聞く限りでは、
ミシェルはそのように述べた。ブルクーヴァンの中心街の城郭には魚人の居住地も存在している。そこには高度な知能を持つ魚人が生息している。そして魚人が住み着くという不気味な領地が存在している。
「隷属部隊の本拠地もそこにあるのでしょう。だが勘違いしてはなりません。奴らを倒したからと言って鬼核団が消滅するわけでは無いのです。現在右席は2匹ほどの殲滅に成功しています。あなたが戦ったフランチェスカ・サーリとロイゼン=メーデーです。ナルティ・ミダリナににてコミュテー軍隊の隊員によって殲滅されました。」
「フランチェスカ・サーリ。奴は右席を名乗っていなかったのです。自らは、無血だと言い張っておりました。」
アトラスは覚えていた。フランチェスカは右席であることを尋ねた時、自らは違うと否定した。
「はったりに違いないでしょう。奴らは勘づいているのでしょう!!!アトラス、あなたの存在もね。そして櫻井花音は、ブルクーヴァンが陸上の世界を送り込んだスパイなのです。櫻井花音は魚人です。彼女は、陸上世界の情報を、この世界に送り続けていたのでしょう。」
「花音がスパイ??そんなはずが、、、だって彼女は???つまり海から来た海底人だということですか???あいつはスパイなら、、、。そんなはずはない。俺はワーキングホリデーであいつと出会って。。」
「魔魚人は人間に化ける事はできます。そして、陸上で生活する為には、陸上人と同じ姿にならなければならないのです。魔術を身につけていた彼女なら可能だったという事でしょう。明後日帝国議会が行われるでしょう。そこであなたと、コミュテーの軍隊の方には護衛に着いて欲しいのです。櫻井花音、、いや、、そう名乗っていた魚人も姿を見せるかもしれません。」
ミシェルはそういうと、アトラスの方へ近づき、アトラスの頬にキスをした。
「あなたは私がかつて愛したお方によく似ております。帝国の為に、命を投げ捨ててでも、愛する国を守って頂くお方でした。あなたは本当に陸上から来られたお方なのですか???私めには信じられないのです。」
「女、、、女王陛下???」
アトラスはいきなりのキスに思わず、びっくりしてしまった。
「失礼、、、立場を弁えるばかりでしたね。しかし魔術は、何もかも奪ってしまうのですね。私の父もかつて偉大な王であったのに!!!
殺害されたのです。ブルクーヴァンの皇帝、、デュヴェルス帝によって!!!!
古に伝わりし儀式、、、食人の儀式などの為に、、、」
そうかつて第2次黒海戦争により、アルティアンと、ベステフィル帝国は戦争していたが、これにベステフィル帝国が勝利したことで、アルティアン帝国は崩壊した。コミュテー先代皇帝は食人の儀式の儀式により処刑された。そして先代皇帝を食した魚人こそ、隷属部隊の上流貴族でもあるブレウスマ卿であった。
「それは、、、アルティアンが戦争に負けたから、、、。魚人に、、権力を奪われたのですか???魚人は人間を殺して食い尽くしているのか???まさかポセイドンのプログラムには魚人が人間を喰い尽くすという司令が組み込まれていたのですか??」
アトラスは思わず問いただした。




