第11話 「悪魔の翼」
フランチェスカ・サーリは、スズキの魚人であった。それでいて聖ユリウス教徒の抹殺を行う、ブルクーヴァンの魚人の暗殺部隊の一員である。その暗殺部隊は、右席の元で動いている。
「もしかしてお前も右席とかいう奴らの仲間か??」
アトラスは、フランチェスカに尋ねた。彼女はルドゥリ・ナブーの元で動いている。実働部隊としては、優秀な殺し屋である。
「そんな事に答える義理はないわ。私は、ただ胡散臭い宗教連中が嫌いなだけ。人間共の癖にあたしの生態系も怖そうとする馬鹿な連中ってことね。」
フランチェスカは、抜いた剣を握ると、クラリスを殺すべく、襲いかかった。
剣からは、紫の閃光と共に凄まじいパワーが押し寄せてきた。アトラスはソードを握ると必死にその攻撃を抑えた。
両者の剣は激しくぶつかり合った。
フランチェスカのパワーに押されてアトラスは、体制を崩しそうになったが、アトラスは、体制を整えた。
「ふざけんな、何の恨みがあるか知らねえが、いきなり殺すなんて、卑怯にも程があんだろうが。!!」
アトラスのソードからは、赤く光った。そしてそのまま閃光は、熱を帯びた状態のまま、ソードを包み込んだ。
「あら、熱のアビリティ、中々やるじゃない。確かにアビリティの力だけはあたしら魔魚人と互角なだけあるわね。でも忘れちゃいけないわね。所詮アビリティは、魔力を持たぬ人間が使うただのアイテムでしかないって事。元々使える私ら魔道士の方が、断然有利だってことをね。」
フランチェスカは、剣を持つと、凄まじい、スピードでアトラスへ斬りかかった。
紫の閃光は一斉にビーム砲へと変わり、アトラスの後方にある建物を破壊した。
燃え盛る炎の中、建物は一斉に崩れ去っていく。
「ふざけんなよ、、、、てめえ!!!!今の人がいたら死ぬだろうがぁぁぁぁ!!、!」
逆上したアトラスは、剣から斬撃を放った。赤い凄まじい斬撃は、フランチェスカを直撃したが、フランチェスカはシールドを形成すると攻撃を防いだ。
「言ったでしょ。女という生き物を舐めんじゃないわよ!!!」
すると、浮上したフランチェスカは、翼を形成した。
「これがあたしの魔力、悪魔の囁き(ダースビュアヴィス)、さあ全てを消しつくすのよ!!!!」
そして翼から、破壊砲弾を放ち尽くした。無数の砲弾は激しい勢いで、黒く燃え尽きるような残酷な色をしていた。そして勢いを増し、進路を変えるとクラリスの方へ放たれた。
しかしその時クラリスは術式を唱えた。
「穢れなき、世界を救う天使。聖杯のごとく、白い光とともに私に神の力を貸して下さい。ミカエル!!!」
すると白い光と共に、白い羽が形成された。羽はクラリスを包み込むと、羽から白い砲弾が発射されると、フランチェスカの方へ放たれた。
しかしフランチェスカは再びシールドを形成して、その攻撃を防いだ。
「へえ、ユリウス教徒だからやるじゃない。あんたが必死で守ろうとしたルターパウゼ大司教とやらの復讐かしらね。それとも25人の修道児達の仇かしら。伝わってくるわよ。あんたの気持ちが。その限りないまでの憎しみで全てを消し去ればいいってね。」
フランチェスカは、素早く移動すると、翼を使いながらクラリスの方へ接近した。
「おい、クラリス、逃げるぞ。このままでは命を失うぞ。奴は危険だ。」
「あら、逃げるのね。そんなに私は甘くないけどね!!!」
アトラスはクラリスを連れて、高速で移動した。裏路地から燃え盛る中心街へ逃げ回った。ミサイルにより破壊され荒廃した中心街は焼死体の山で溢れかえっている。
中心街の廃墟へ逃げ切ると、そこでクラリスを匿った。
「頼む、、ここにいてくれ!!あいつは俺があいつを倒す!!!俺はもう、人が死ぬのはみたくない。。」
アトラスは、正直自信がなかった。それは結局、自分のアビリティが強いというのかどうかという事ではなかったが。それでも自分が戦わなければならないという使命のために、アトラスはソードを握った。
そしてフランチェスカに斬りかかった。
それに対して翼を生やしたフランチェスカも剣を握ると2人の剣は激しくぶつかりあった。
「そんなにあたしと戦いたいなんて、教えてあげようか。舐め腐ったあんたの負けだってね!」
「うるさい!!!わかんねえのかよ。まだ負けたって決まったわけじゃねえだろうがぁああ!!!!」
アトラスの赤く燃えたぎる剣を、フランチェスカは避け切ると、手から紫の破壊砲弾が放った。すると一面が爆発した。
「何???」
爆発の凄まじい威力で、アトラスは深手の傷を負った。傷だらけになったアトラスは息をしたが、巻き起こる砂煙に咳き込んだ。それと同時に怪我の痛みがアトラスを襲った。
「アトラス様、しっかりなさってください!!私が今から、治療致します。ですから。しっかりしてください。」
「ほーら、そうやって馬鹿やってるから。あんたは、あたしにもまた負ける。これであの世へ送ってあげるわよ。覚悟なさい。悪魔の慚愧!!!」
再び、フランチェスカは、紫の破壊砲弾を放ち、アトラスが死にかけたその時だった。
絶望の果ての中、1人の女剣士が現れた。コミュテーの軍隊服を着ていたその女性の後ろ姿をアトラスは見つめていた。




