表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/246

本来の姿

 状況は絶体絶命。

 クエストの目標である赤い雷の原因究明は果たしたが、これの排除などとてもではないが無理だ。

 麒麟の力は、少なくともベヒーモスやナーガを軽く凌駕している。

 シュウゴは忌々しげに奥歯を噛みしめた。


 ――ズザァァァンッ!


 赤い雷光が閃いた次の瞬間、麒麟がシュウゴの目の前に現れ角を振り上げていた。


「っ!」


 シュウゴは反射的にアイスシールドで受け止めるが、あまりの圧力で結晶の表面がひび割れていく。


「お兄様っ!」


 シュウゴの後ろから、メイが横へ飛び出し杖を麒麟へ向ける。

 レーザーの収束はまだ六割ほどだが、至近距離であれば怯ませる程度は可能だ。

 しかし、なんの予兆もなしにメイの手元で赤い稲妻が弾けた。


「きゃっ!」


 メイは衝撃で尻餅をつき、杖を遠くへ飛ばされてしまう。

 シュウゴのアイスシールドもついに砕け、同時に麒麟の角が眩い赤光(しゃっこう)を放つ。

 ショックオブチャージャーは瞬時に蓄電量を超え、シュウゴは呆気なく吹き飛ばされ地面を転がった。


「ぐぅっ……」


 麒麟はその場で両前足を高く振り上げ、地面に叩きつける。


 ――ズバァァァッ! ズザザザザザァァァァァンッ


 半径十メートルほどの範囲内で雷が連続で降り注いだ。

 シュウゴとメイは息を吐く暇もなく、体のいたるところを雷に打ち付けられ、地面に貼りつけられる。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 激しい落雷が振り続ける中、麒麟はゆっくりシュウゴへと歩み寄り、その頭上で角を振り上げた。

 止めを刺すつもりだ。

 シュウゴはかろうじて顔を上げるが、振り下ろされる一撃をただ見つめるしかできなかった。

 そのとき、この落雷に怯まずデュラが割って入った。


 ――キイィィィィィンッ!


 サンダーガードで麒麟の角を受け止めているのだ。

 体を幾度雷に打たれてもビクともせず、デュラはカウンターとばかりに、クリアランサーで麒麟の角を突く。


 ――バヂンッ!


 なにかが弾けたような音がした。


「ヒヒィィィンッ!」


 麒麟は急に弱ったような声を上げ、五メートルほど後方へ瞬間移動する。

 同時に降り注いでいた落雷の雨が止んでいた。

 シュウゴがデュラに支えられながら立ち上がり麒麟を見ると、その赤く輝いていた角が欠けていた。

 否、内側の白い角が見えていたのだ。デュラの一撃で充電部を削ったのだろうか。


「一体どうしたんだ?」


 麒麟の様子が変だった。

 紅に輝く瞳が点滅しだし、まるでもがき苦しむように麒麟が動き回っていた。

 まるで理性のせめぎ合いをしているようだ。

 麒麟が暴れまわる間、落雷は幾度もあったがシュウゴを狙ってはこない。

 メイを抱き起したシュウゴたちが麒麟から距離をとり、様子を見守っていると、やがて麒麟は岩盤に自身の角を叩きつけた。


「ヒヒィィィィィィィィィィンッ!」


 そして天へと叫ぶと、岩盤の上を駆け上っていく。

 頂上にたどり着くと、白い雷光で辺り一帯を包み込み、視界が晴れたときには消えていた。


「……助かった、のか?」


 シュウゴが気の抜けた声を漏らす。

 渓谷の落雷はすっかり止み、黒い冷風だけがシュウゴたちを襲っていた。

 赤い落雷の原因究明と排除……つまり、クエストは成功したのだ。

 それを認識すると、シュウゴはガクンと膝を落とす。


「お、お兄様っ!?」


 シュウゴはメイの必死な叫び声を聞きながら、意識を手放した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ