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聖槍グングニル

「――『聖槍グングニル』だ!」


 その名を聞いた瞬間、シュウゴは反射的にアイスシールドを展開し、大きく跳び退いた。

 同時に、突き出されたグングニルの穂先が、氷の表面に突き刺さり強く押し飛ばす。


「くっ……」


 シュウゴは押し飛ばされ体勢を崩すが、バーニアを背面へ噴射し滞空する。

 アイスシールドを見ると、表面が大きくひび割れていた。


(かすっただけでこの威力か……)


 シュウゴは内心舌打ちし、すぐにアイスシールドへ魔力を流して再生する。


「今の回避は悪くない判断だ。それとも、まぐれかっ!?」


 サタンは追撃しようと、床を蹴り羽を広げてシュウゴへ飛翔する。

 だがすぐに、彼の斜め下から大口径のレーザーが迫った。


「ちっ」


 サタンはその射線も見ずに、軽々と宙返りして回避。トライデントアイのレーザーは宙を焼き、虚しく消失する。

 サタンは羽を広げてその場で滞空し、片頬を吊り上げて愉悦の笑みを浮かべた。


「ククク……貴様ら、思っていたより骨があるようだな。せいぜい俺を興じさせてみろぉっ!」


「こんのぉぉぉっ!」


 シュウゴとサタンが真正面から突進し、ブリッバスターとティルヴィング、アイスシールドとグングニルが甲高い音を立てて激突する。

 シュウゴは頭を逸らして魔剣を避け、カウンターで大剣を叩きつけるが聖槍の胴部で受け止められる。そのまま流され魔剣の鋭い突きが繰り出されるが、氷結の盾の中央に合わせ防御。真横から大剣を薙いでも魔剣と聖槍に挟まれる。

 サタンの空中での身のこなしはあまりにも鮮やかだった。流れるように魔剣と聖槍を繰り出し、シュウゴはそれに合わせるのに必死で、じわじわと追いつめられていく。


「これでも武芸では、ザラキエルにもおくれをとらんのでな」


「くそぉっ」


 数瞬のうちに幾多もの火花が散り、悲鳴のような金属音が鳴り響く。やがて防御で手一杯になると、ブリッツバスターの幅広い刀身は盾としてしか機能せず、アイスシールドも削られるたびに魔力で再生するから消耗が激しい。


(お兄様!)


 メイが再びレーザーを放つ。

 シュウゴがピンチなのを察して放ったために、出力は50%程度だ。

 その射線上にサタンを捉えるが――


「――いい加減、鬱陶しいな……シャイニングフィールド」


 サタンはティルヴィングを強く薙いで、防御したシュウゴを押し飛ばすと、グングニルを持った左手を下から迫るレーザーへ向けた。

 突如、その掌を中心に魔法陣が浮かび上がり、シュウゴのアイスシールドのような光の障壁が出現。

 高熱量のレーザーを受け止める。


「あれは……」


 神聖な力なのだとなんとなく分かる。

 サタンは熾天使であったときの力も保持しているのだ。

 光の障壁でレーザーの熱を発散させ消失させると、サタンは無造作にグングニルを放り投げた。その向かう先はメイ。


「メイっ! 避けろ!」


 グングニルのスピードは想像以上に速く、光の軌跡を描いていた。

 レーザー照射の反動で硬直していたメイは動けない。


「っ!」


 恐怖で顔を強張らせたメイは、ギュッと目を閉じた。


 ――ヒュンッ!


 直撃は避けられないと思ったその直後、突然黒い影が現れ、メイを抱いて飛んだ。

 グングニルは深々と床に刺さり、ひび割れさせて小さなクレーターを作る。 


「ニアちゃん!」


「ニア!」


 漆黒の竜人の姿をしたニアは、離れたところでメイを下ろすと、禍々しい竜の瞳をサタンへ向け、暴風を巻き起こしながら飛び立った。


「やはり、あのでくの坊はクズほどの役にも立たなかったか」


 迫るニアを見て、興味なさそうに吐き捨てるサタン。

 アスモデウスのことを言っているのだろう。彼の気配は完全に消えている。ニアが倒したのだ。

 サタンは、部下の不手際に怒りを滲ませていた。サタンの真正面へ迫ったニアは鋭利な爪を繰り出すが、サタンは光の障壁で防御。

 その隙に、シュウゴはエーテルを飲んで魔力を回復し、サタンへ迫る。


「はあぁぁぁぁぁっ!」


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