残された思い
「なあ、お前が、俺に言ったこと覚えてるか?」
俺の問いに君は何も答えようとはしない
「お前さ、俺の事を大事な友達って言ったんだぜ?」
そんな君に俺は構うことなくただひたすらに話しを続ける。
「信じられないよな。俺その前にお前に振られてんだぜ?」
俺は精いっぱいの笑い話を自分でも崩れているのがわかる笑顔で言う。
「でもよ、お前そんなに友達多くなかったじゃねーか。だから俺、勝手に舞い上がって1人喜んでたんだよ」
頑張った分だけ俺は瞼が熱くなっているのに気づいて、顔を上に向けながら話を続ける。
「それからさ。明日、何話そうかとか、遊びにでも誘おうか。なんて事を暇があればずっと考えてたんだよ」
俺は服の裾で顔を拭うと君の方に向き直る。
「それがすっごい楽しくて、楽しくてさ…」
「なのに…どうして今はお前の事を考える度に、こんなに涙を流さないといけないいんだよ!」
僕はもう瞳から流れ出る涙に構うことなく必死に君に話しかける。
「おかしいだろ!なんでお前が俺を泣かしてるんだよ!」
僕は荒げた声を治すために、静まることのない息を整えようとする。
「約束しただろうが…ずっと一緒って、悲しい思いさせないって」
これだけ呼びかけても君は一言も返事をしない。
「どうしてお前が約束破んだよ…」
僕の言葉のあとにはただ無音の空間だけが残り、僕に孤独を染み込ませ続ける。
その時に僕は諦めてしまったのか、体の力が抜けて君の前で崩れ落ちる。
僕はぐしゃぐしゃになった顔を拭くこともせず、もう見ることもできない君の笑顔を思い浮かべながら君に分かれを告げた。
「ありがとう」