最初の一日⑦
どこまでも続く並木通り。
緑色を青いとよく表現するが、緑色が本当に青く見えたのはカケルは生まれてはじめてだった。
道はレンガでできていたり、石畳になっていたりと様々だったがちゃんとカケルたちを導いてくれる。
まわりは背の高い木々で覆われているためそんな道がないと迷ってしまいそうなのだ。
道をたどる。ただそれだけでこんなにもわくわくするなんて。
まるで冒険にでも出ているような
そんな森の間に小さな池があり、そのそばには古いお屋敷のような建物があった。
その建物の中庭にはたくさんテーブルや椅子があり、そこに座って話す人たちの顔はとても穏やかだった。
絵画の一場面のようなそんな風景。
おしゃべりや食事を楽しむ人々の姿が水面に映る。
水面は風で揺れる。
カケルは思った。
(あの人たちとは生きる世界が違うんだ)
だが、ナナはこう言った。
「ちょっとあそこで休憩でもしない?水面がとてもきれいだし」
「え?あ、そうだな」
ナナはさっさとそのお屋敷の形をしたカフェに入っていた。
カケルはさっきまで思っていたことを恥ずかしく思った。
「なんだ、簡単に超えれるじゃないか」
カフェの入口でナナがカケルに呼びかける。
「カケル!何してんの?はやくー!」
カケルはナナの元へ駆けていく。
カケルはイアトマ国の空港でも同じことを思っていた。
ここにいる人たちは自分とは住む世界が違うと。
だが、そうではないのだ。
住む世界が違うなんてことはない。
簡単にどこへでも誰でも行けるものなのだ。
生きていればどこへでだって。
カケルは少しづつ分かりはじめていた。