71/162
新しい生活
なんでこうなったのかカケルにはわからない。
でも、もうわからなくなっていいと思った。
そう思った時、カケルは初めて聞いたのだ。
自分の新しい扉が開く音を。
まあ、本当に目の前の扉を開けたのだが。
「ここに、これから住むのか?」
「そうよ。ここはもともとリリィが住んでいた部屋なんだけどね」
「ここにリリィが!?」
「うん。しばらくは私も一緒に住んでいたのよ。でもリリィ引越しちゃったから」
カケルはふらふらと部屋の中を歩き回った。
(これからウォーキンシティに住むのか)
そして大きな窓から街を眺めた。




