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空港④
飛行機の中は、ソファーのようにふかふかな白いシートが二つ向かい合うように大きな窓の横に設置されていた。床には赤い絨毯が敷かれ、まるでカケルは自分が映画スターにでもなったような気分になった。
「貸切なのか?」
「いい時間がなかったからチャーター機を借りたのよ」
「すごい」
「ほら、さっさと出発するからはやく座って」
カケルはふかふかのシートに座るとふかふかすぎて吸い込まれそうになった。
「ものすごいふかふかだぞおい」
ナナはそんなカケルを見て笑った。
「もう、まだまだ子供ね」
「お前もだろ」
「まあね」
扉が締まり、飛行機が動き出した。
大きなエンジン音しばらく鳴り響いたかと思えば急に静かになり、ものすごいスピードで飛行機が走り出した。
カケルは驚いてシートをぎゅっと目をつぶって握り締めていた。
さきほど以上のエンジン音が鳴り響いたかと思うと機体がふわっと揺れた。
カケルはそうっと目を開けて窓を見つめた。




