空港③
カケルはただナナの後ろをついて歩いた。
はぐれないようにするので精一杯だったが、初めての空港はカケルにとって本当にワクワクする場所だった。
たくさんのレストランに洋服屋、おしゃれなカフェまで色んな国の人たちがそこで楽しそうに食事やショッピングを楽しんでいた。
「すごい。全世界のひとがここに集まってるみたいだ」
「そりゃイアトマ国一の大都市なんだからここは」
「でも、今から行くウォーキンシティは」
「世界一よ」
カケルはどきどきが止まらなかった。
もう不安は一切ない。
なぜならカケルはナナがショウカンビトであることを信用しきっていた。
“ショウカンビトは私を別世界へ連れて行ってくれたんだ”
そう言ったおじいちゃんの言葉どおりだったから。
飛行機に搭乗する前の検査で少し戸惑いながらも、無事飛行機の搭乗口まで来たカケルは、開いた口がふさがらなくなっていた。
はじめにその飛行機はテレビや教室でクラスメイトが話していたようなジャンボ機ではなく、とても小さかったからだ。
だから、カケルは少し拍子抜けしていたが、搭乗口の目の前で発したナナの一言にこれまで生きてきた中で一番驚いたほど驚いた。
「あ、この飛行機私たちしか乗らないから。くつろいでいいわよ」