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ナナの目的④
カケルは、息を呑んだ。
お前、本当にショウカンビトなのか?その一言がカケルの口から飛びだしそうだったのを必死にこらえた。
(いや、きっとこいつは俺を馬鹿にしてるだけだ)
「そんな話誰が」
「いじめっこの気をそらさせたのも、この短期間であなたの情報をこれだけ集めたのもショウカンビトである私の力なのよ」
カケルは心臓の音が大きくなっていく。
(本当に?)
カケルはずっと待っていたのだ。
ショウカンビトが目の前に現れるのを。おじいちゃんから話を聞いたときから。ずっと。
ナナは、はあっとため息をついた。
「まあ、いいわ。信じる信じないはあなたにまかせる」
カケルはじっとナナの目を見つめ、口を開いた。
「誰が、願ったんだ?俺の知っている人か?」
「あら?信じるの?」
「信じたわけじゃない。ただ百歩譲ってお前がショウカンビトだとしたら一体誰がその願いを言ったんだ?」
ナナはしばらくカケルの目を見つめてから小さく息を吐くようにつぶやいた。
「この国の真反対の国に住んでいるリリィという人よ」
「リリィ?」
ナナは頷いた。