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またあの廃屋に
だから結局、カケルは例の廃屋の前に立っていた。
はあっとため息をついて中に入った。
ナナは、もうすでに中にいて椅子に座り缶コーヒーをすすっていた。
(相変わらずブラックか)
カケルの存在に気が付くと、にっと笑った。
「はい、これなら飲める?」
そう言ってナナが差し出した手には、缶ジュースのコーラが握られていた。
「なんか俺がお前よりガキみてえじゃねえか」
「なに?いらないの?」
カケルは、ふんと鼻をならして缶を受け取った。
そんなカケルを見てナナは笑った。
「何よ。子供じゃない」
(うるせえ)
カケルは、缶のフタを開けるとぐいっとコーラを飲んだ。
「昨日はごめんなさい」
カケルは、缶を目の前のテーブルに置くとじっとナナを見つめた。
「お前、一昨日どうやってあいつの気をそらさせたんだ?」




