リリィのお話はここまで
リリィはぎゅっと鈴を握り締めてナナをまっすぐに見つめた。
「ありがとう。ナナ。この願いごとは誰のために使うのかしっかり考えてあなたを呼ぶ」
ナナは、微笑んだ。
「私、リリィに願いごとをしてもらうの待っていられないわ。リリィのこと気に入ってしまったもの。もっとリリィのことが知りたい」
「だったらウォーキンシティに住んだらいいじゃない?誰かの願いごとを叶えてそれからまたもどってきたらいい。ここを拠点にしたらいいわ。それに私も、もっとナナの話聞きたい。ショウカンビトの話。たくさん聞かせてよ」
ナナの顔がぱあっと明るくなった。
「そうするわ!これから色んな事しましょうよ!一緒に映画を観たり!」
「美味しいものを食べに行ったり、旅行もいいわね」
「素敵すぎる!そうしましょう!リリィ!」
ナナはきゃっきゃっと喜んではしゃいでいた。
そんなナナをリリィは微笑んで見つめていた。
(200年も生きてきたのに見た目通りの子供みたいね)
「ナナ!はしゃぐのもいいけど、まずランチどこで食べる?またダミアンの店?」
そのとき、リリィはふと思い出した。
ダミアンの店でナナとダミアンがおかしな空気になったことを。
「もしかして、ダミアンの願いもリリィが叶えたの?」
ナナは、にっと笑うだけで何も答えなかった。
「ちょっと!ナナ」
「それは秘密よ」
「いいわ。今からダミアンに直接聞くから」
「え!それはダメよ。じゃあ別の店にしましょ!」
ふたりはぎゃあぎゃあ騒ぎながら、たくさんの人々で賑わう休日のウォーキンシティへと消えていった。
ここまでが、リリィとナナの出会いの話だ。
これからリリィとナナは友情を深めていき、リリィはこの出会いから2年後にナナに願いごとを伝えた。
そして、その願いごとはナナにとって生涯忘れることのできないかけがえのない願いとなるのだが、それはまた別のお話。