再び学校へ
「俺、一度学校に戻って荷物とってくるよ。先にいつもの場所に行っていてくれ。先生にもちゃんと謝りたいし」
ナナはむすっとした顔をした。
「内申点に響くものね」
「ナナ、まだ怒ってるのか?」
「だって、本当に心配だったのに。まさか内申点のこと考えてたなんて」
「悪かったよ。でも思いつめてなくてよかっただろ?」
「まあ、そうだけど」
「説教はあとで!すぐいくから!」
カケルはそう言って、にっと笑うと駆け出した。
「ちょっとカケル!まったく」
ナナは相変わらず、むすっとした顔でカケルの背中を見つめていたが、小さくなっていく背中に微笑んだ。
学校に着くと日はほとんど沈んでおり、暗い青い空が学校を覆っていた。
教室に入ると、まるで何事もなかったように綺麗に机が戻されていた。
カケルは自分の机の横にかけていたカバンを持ち上げて机の上に置き、中を見つめる。
カケルのカバンの中には、カメラが入っていた。
今日でナナとは当分会えなくなると思ったカケルはできるだけナナとの写真を撮ろうとカメラを持ってきていたのだ。
「よし」
カケルが、カバンを肩にかけたその時、教室の扉が勢いよく開く音がした。