変わらない教室②
みんな呼ばれる前から誰が呼ばれるかわかっていた。
案の定、教壇に立った先生はいじめっ子の名を上げた。
それからいじめっ子といつもつるんでいる数人の生徒の名を上げて、名前を呼ばれた生徒たちとともに廊下に出た。
みんな興味津津で廊下を見つめる。
カケルも聞き耳を立てたが、立てる必要などなかった。
いじめっ子の怒鳴り声が廊下に響き渡った。
「俺じゃねえ!!」
教室にいた生徒は全員びくっと驚き、再び教室はざわつき始めた。
いじめっ子たちは、先生に別の教室へと移動させられたようで、廊下から直に姿を消した。
教室はしばらく残った生徒たちの明るい声で溢れていた。
「あいつが休学になったら」
「いや、退学だろ」
「逮捕されんじゃねえ?」
だが、カケルは他の生徒のように浮かれることはなく冷静に考えていた。
(ボヤ・・・ぐらいじゃ、休学とかにはならないだろうな。それにきっと誰がやったとか先生たちも証拠を持ってないだろうし。あったらとっくに呼び出しているはずだ)
冷静にカケルがこうして考えていたのは変な期待を抱きたくないからだ。
カケルは、ため息をつきながら机の中から教科書を取り出そうとした。
その時、ヒラリとメモが宙を舞って足元に落ちた。
(ん?なんだこれ?)
カケルは拾ったメモを見つめた。
そこにはこう書かれていた。
学校が終わり次第、隣町の廃墟集合!
ナナ
(ナナ・・・これぐらい話しかけてきたらいいのに。相変わらずストーカーぽいな)
カケルは斜め後ろを見つめた。
(ん?ナナ?)
ナナはなぜか心配そうな顔をして、廊下を見つめていた。