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さらばウォーキンシティ
カケルは地下鉄の手すりにもたれて、自分がいまさっき見てきた光景を思い出していた。
美しい緑が生い茂った公園。
たくさんの人々で賑わうフリーマーケット。
古い建物と新しい建物が混在する街並み。
カケルは車内にいる人々を見渡した。
(それから、個性的な乗客がいる地下鉄)
カケルは、ライルと別れてからこの街を目に焼き付けて来たのだった。
忘れないように。
いつでも思い出せるように。
カケルの口から自然とため息が出た。
(この街とはお別れだ。でも、いつか、俺はまたここに来る。絶対に)