ダミアンの店にて
ダミアンは、きょとんとした顔で見つめていたが、目を大きく見開いた。
「ナナ!?」
「ええ。本当に久しぶりね」
(知り合いだったの?)
「いや、まさか。ナナ、また会えるなんて。一体何年ぶりだ?」
「何年振り?」
リリィは疑問が声に出ていた。
「さ、3年。3年振りくらいよね!ダミアン?」
「え、あ、そ、そうだな」
(ん???)
「まあ、いいからリリィ、ナナ。窓際の席がちょうど空いてるから。座りなよ」
ダミアンに案内された席に座り、ナナは何事もなかったかのようにメニューを見つめていた。
「ねえ、ダミアンと知り合いだったの?」
「ん?ん・・・うん」
(なにその適当な返事は)
「お父さんのね、会社の知り合いだったの。このお店をまだ始める前」
「ふうん」
「私きーめた。サンドイッチセット」
リリィのじっと見つめる視線を何とも思っていないナナは、そう言ってメニューをリリィに渡した。
(やっぱり変な子)
「リリィは何にするの?」
「私は、サンドイッチ以外。昨日も食べたもの。ハンバーグにでもしようかな?」
そうこうしているうちにダミアンが水を持ってきた。
「まさかリリィがナナと友達だったとは」
「友達っていうか。あ、ダミアン知ってる?」
「何が?」
「ナナったら、裕福な家庭に住んでるのに、公園で貧乏な振りして」
「ちょ、ちょっとリリィ!」
ダミアンは笑った。
「なんだナナ。本当にお前は変わらないな。昔から」
「え?3年前もそんなことしてたの?」
「3年?ああ。そうなんだよ。こいつの暇つぶしみたいなもんでな」
「あんた3年もあんなことしてるの」
「3年どころじゃないかもな」
ダミアンはにやっと笑った。
「もうふたりともその話は終わり。私、お腹ぺこぺこなのよ。ダミアン、サンドイッチセットと、ハンバーグセットね」
「はいはい」
むすっとした顔をしながらナナは、ダミアンの背中を見つめていた。