年末
今年もあと一週間をきった。クリスマスは上島がアルバイトだったので会うことはなかった。福寺も出勤日だったので会うことに対して固執することはなかった。上島は冬休みになり、福寺の会社では大掃除をのこすだけとなった。上島が働くゴルフセンターは元旦以外は営業だった。バイト仲間が帰省する為、上島の出勤日は増えていた。出勤日を決める時には福寺との関係がなかったので替わりに出ることを了承した。今さら替わることができない現実に上島は辛さをおぼえた。上島のアルバイトの休みはこの日だけで、明日以降は大晦日まで出勤が決まっていた。
年末の大晦日を終えた福寺は昼すぎに帰社した。福寺が家に着いた時は14時をまわっていた。二人は鶴見緑地を散歩することにした。上島はバイクで早めに行き、福寺がくるまで写真を撮りながら待っていた。木々の間から風がぬけると、冬らしい寒さを上島は肌で感じた。上島の携帯がなった。福寺からの着信だった。
「もしもし、着いたよー。」
福寺の明るい声が聞こえた。電話をきった福寺は自転車を停めて噴水の方に歩いた。そして二人は噴水の前で会った。
「やっと会社終わったよ」
上島は嬉しそうな福寺の顔をみた。
「いつまで休み?」
「4日まで」
「4日まで?」
あまりにも短さに驚いた。
「そうかー、会社ってそんなもんやねんなー」
「すぐ終わりそうな気がする…」
二人は風車の丘に向かって歩きだした。
「前ここ歩いたよ。」
「ツイッターにのせてたね。」
「了くんがコメントしてくれて嬉しかった。また暖かくなったらバドミントンとかしようね。お弁当作ってくるからさあ」
「うん。ぜひぜひ」
風車の丘に着いたが丘一面に花は咲いていなかった。ところどころに咲いている花を見つけては上島はシャッターを押していった。そのうちに国際庭園にやってきた。各国の建物やオブジェがあった。セルフタイマー機能を使い二人の並んだ写真撮った。
「いい写真撮れたね。」
福寺が上島のすぐ横にきて一眼レフの画面を見ながら答えた。上島は写真よりすぐ横にいる福寺のほうが気になった。
「栄子さん。」
「何?」
上島は一眼レフの電源をさわった。画面が暗くなり、二人の画像が一瞬で消えた。すぐ横の福寺は上島を見た。
「僕、栄子さんのこと…好きやからね」
上島は思いを伝えた。いきなり言われた福寺は驚いた。
「ありがと。私も好きだよ」
お互い正直な気持ちを言い合った。上島はほっとして、照れ笑いした。
「行こっか」
並んで歩いているうちに手が何度かぶつかり、二人はいつの間にか手をつないでいた。上島は福寺の手の冷たさに驚いた。福寺は上島の手の温もりを感じた。
「明日からバイトなんだね。」
「夕方からの時は昼に会えるからね。」
「うん。分かった。」
日が暮れる時間は早く17時すぎには薄暗くなってきた。
「寒くなってきたね。」
二人は手をつないだまま、福寺が自転車を停めている場所まで歩いた。




