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衝突  作者: ku-ro
22/41

スタート

バイバイと手をふった上島はバイクにのり家に帰っていった。上島の肩を掴んでいた感触がまだ残っていた。福寺は上島のバイクが見えなくなるまで動かなかった。家に帰ると電気がついていた。両親にどこまで話していいのか悩んだ。いろいろ言われるのも嫌なのでタクシーで帰ってきたと伝えた。そして帰りが遅くなったことを謝った。福寺の顔を見た両親は安心した。上島と別れる前に携帯番号とメールアドレスを交換していた。

「今日はありがとうございます。今度会う日がたのしみです。おやすみなさい。」

そう上島にメールを送った。疲れきった体を横にした。そして今日の事を思い浮かべた。上島の優しそうな顔立ちがやはり好みだった。後はどんな性格なのか気になった。木元のように自慢話が多かったらどうしようと思った。

(まずはいろいろ話したいな…)

三日後には仕事が始まる。明日に予定を聞いて、土日のどちらかでもいいから会ってみたいと思った。どこがいいか考えているうちに眠りについた。朝から働き、いろいろあった福寺の一日がやっと終わった。


福寺と別れた上島はサイドミラーを何回か見ながら運転した。最後まで自分を見送っている姿がうつっていた。喜びが膨れ上がり疲れなど感じなかった。中央環状線で家へと向かった。深夜なので車は少なかった。どの車も昼間よりスピードを出して走行していた。上島も隣の車線を走る車と並走してるうちに速度があがっていた。土曜はアルバイトがあるので、日曜に約束してみようと思った。そして上島もどこにいこうかと、そんなことばかり考えながら運転していた。突然、並走していた右の車が上島の車線に入ってきた。

(あぶない!!)

考え事をしていた上島はいきなり入ってこようとした車に驚いた。とっさにハンドルを左にきってよけた。

上島のバイクに気づいた車は車線変更を止め、何事もなかったように元の車線に戻り走り去っていった。

上島のバイクは急に左にハンドルをきった為にバランスが崩れた。

(おっとっとと…)

焦った上島はすぐにハンドルを反対にきった。左右にふらつきながらバイクは数10メートル進んだ。上島はこまめにハンドルを動かしながらなんとか体勢を戻した。

(あぶなかった…)

福寺を後ろに乗せていたらどうなってたことかと冷や汗がでた。速度に気をつけ深夜の道を走った。

家に帰った上島は親を起こさないように静かに玄関を開けた。そして寝る支度をして自分の部屋に入った。いつもならパソコンの電源をいれるが、今日はそのままベッドに入った。最後に携帯を見ると福寺からのメールが届いていた。しかし時間も遅いので返信しないで枕元に置いた。ヘルメットのベルトを締める為に手を差しのべた。その時に福寺の顔を間近で見た。本当に自分と逢いたかったのだろうかとおもうぐらい美しかった。また自分と会うことに対して「はい」と答えてくれたのが嬉しかった。自分にとって初めての女友達だった。まだどういう人かはわからないが、自分と行動をともにしてくれる事が嬉しかった。今までは横をすれ違う二人乗りのバイクのカップルをうらやましく見ていた。福寺との夢のような時間を過ごせた。また後ろに乗せてどこかに行きたいと願うようになった。

高井田で写真を撮ったのもバイクに乗りだしてからである。バイクの運転が自分の人生の転機となったように思えた。明日起きたらまずメールを送ろうと決めて上島は目を閉じた。

「おはよー。昨日?は遅くなってしまったね。今日は昼からアルバイトなので、明日予定が大丈夫ならどっかに行きませんか?」

朝7時過ぎに起きた上島は、敬語かタメ口か悩みながらも福寺にメールを送った。その着信音で福寺は起きた。そしてすぐにメールを確認した。

「おはよー。今起きました。明日大丈夫ですよ。」

ベッドに横たわりながらメールのやりとりが続いた。学校、会社が休みなので二人は冬の温い布団からなかなか出ることができなかった。メール受信する度に二人は繋がりを強く感じた。そして明日の行く場所が決まった。年齢や学校なども教えあった。福寺は早生まれなので、学年は上島より1つ上だが同じ年に生まれたことがわかった。お互いひっかかるところはなかった。

二人の新たな歩みがスタートすることになった。

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