蛇足
見事、作戦が成功し、俺達が生き返った日。春菜と下校して、家に送り届けたすぐ後に、俺は自宅へと帰った。
「おかえりー」
「ああ、おかえり」
玄関を開けてすぐ。そう声をかけてきたのは、見知らぬ男女だった。四十くらいだろうか。見知らぬ二人が家に上がっていた。
『狙われているのは、ワールドメモリーを持った人ということよ』
茜ちゃんの言葉が脳裏に浮かぶ。
「えっと……どちら様ですか?」
「え、ちょっとひどくない?」
女性の方が、ショックと言いたげに眉をひそめる。
「ショック……」
渋い声で無表情に男の方がそう言う。――なんだよこのノリ……。
「まあ、十年ぶりに顔を合わせたものね。でも、テレビ電話だってしてたし、写真だって送ってるんだから、そんな言い方ってないんじゃない?」
本当に誰なんだこの人達は……。
「そうね! おなかが減っているのね! それで気が立っているだけなのね? 何がいい? お母さんのおっぱいでいい?」
豊満な胸を鷲掴みにして、くねくねとアホなことを言う女性。それより……ん? お母さん?
「え? 今お母さんって……」
「薫。いらないなら父さんが貰うぞ」
渋い声で無表情に男の方がそう言う。てか、父さん?
「いや、は? え?」
「いやねー。お父さんったら。昨日もNYのホテルで散々召し上がったじゃない」
「そうでした」
渋い声で無表情に男の方がそう言う。だから、なんだよこのノリ。
「薫」
「な、なんですか」
「宮内さんがいるとはいえ、一人でよく頑張った。これからはずっと一緒に暮らせるぞ」
「父……さん?」
「さっそくだけど、謝らないといけないことがあるの……」
「母……さん?」
「女の子を連れ込みにくくしてごめんね~~」
「連れ込みたくなったら言え。父さんたちはホテルに行くから」
こいつらのこのノリ……。なんだか唐突に理解した。本物の両親なんだ……と。それと同時に思った。
「反抗期の子供の気持ちが分かった……」
「反抗期? 反抗期ですって?!」
これからの生活に、不安しかなかった。




