顔
世界は理不尽だ。
外見さえ良ければ、それだけで大した苦労もせずに生きていける。
だが、その外見が醜悪だったならば。
たちまち狭い世界の全てが、それを目掛けて襲いかかる。
殴られ、蹴られ、罵られ、蔑まれ、孤独になる。
どれだけの時を経ても、形を変えて絡み付き、決して離れない。
外見とはそういうものだ。
恵まれた外見は産まれながらの特権であり、強者の証。
醜悪な外見は約束された絶望であり、弱者の証。
そして、それは決して覆ることはない。
醜悪な親からは醜悪な子どもしか産まれない。
遺伝という残酷なシステムによって、私たちは産まれた瞬間、いや産まれる前からその階級は決められている。
貴族は産まれながらの貴族であり、平民は産まれながらの平民なのだ。
それ故に、貴族、恵まれた外見を持つものが上に立つ。
平民を見下し、それ以下の存在を娯楽の為に冒涜する。
昔から何も変わらず、今この時も私たちは身分社会に生きているのだ。
強者は自信に満ち溢れ、常に勝利することを約束される。
弱者は強者によって自信など砕かれ、常に敗北することを約束される。
そして強者は強者を産み続け、弱者も弱者を産み続ける。
これが外見、顔だ。
内面なんて誰も眼中にない。
どれだけ優しくても、顔が悪ければ気持ち悪いと言われるだけだ。
どれだけ努力しても、顔が伴ってなければ誰も見向きもしない。
まずは顔なのだ。
内面を見てほしいのなら、心の前に顔を磨け。
それが出来ないのなら心など無意味だ。
捨ててしまえ。
特権を持たない弱者たちは、今日も虐げられ、理不尽に哭いている。
醜い顔を、より醜く歪ませて。
ありがとうございました。