〜出発。〜
当日。
夜の8時ピッタリに、遥は私の家に来た。
「お邪魔します。」
お父さんに深々とお辞儀したあと、お父さんに幽霊とかをみてもらうことになった。
「えっと、遥ちゃん?…だっけ?遥ちゃんには、幽霊とかそんなのはついてないから、大丈夫だよ。でも、そんな弱気のまま肝試しに行くと、取り付かれちゃうから、気を付けてね。」
案外すんなりと終わったから、逆に時間が余り過ぎてしまった。仕方なく、一回帰るというわけにもいかないので、私の部屋で遊んだりして時間を潰した。
11時30分。
私と遥は集合場所の四丁目公園に向かった。
持ち物になっている、懐中電灯と、念のためのお守りを持って。
待ち合わせ場所に着くと、皆はもう揃っていた。
「おい!おせぇーぞ。香奈遥!」
待ちくたびれていた寛太が大声で叫ぶ。
「「しずかに!!」」
皆に口を抑えられてたおれそうになる寛太。
「そもそも、まだ10分前だから。」
確かに。と、皆頷く。
「皆結構早く来たね。じゃあ、行きますか!」
晴人、寛太、斗真を先頭に、四丁目公園から肝試しのする場所に移動する。
皆お互いワクワクと、少しの不安を抱えて移動する。
まだ、
気づいていなかった。
これから起こる
災難や、後悔や、悲しみ。
なんにも分かっていなかった。
その事を、先に知っていたかの様に、生暖かい風が私達を包んで過ぎて行った。