龍次君の友達?
ワイワイガヤガヤ、教室の、まぁ二つぐらいの班から声が響く。
給食とはそんなに楽しいものなのだろうか。
「学校で一番好きなのは給食の時間!!」なんて言うやつの気が知れん。
皆大好き給食 の皆の中に入りたいと思わない俺は、食べながらそんなことを考えていた。
というか、何故こいつらは食べながらしゃべってるの?
マナー悪いよ~ 小学校で習わなかった~~?
とはいえ、うちの班は実にマナーがよろしい。
何せ誰もしゃべらないからな~ 何で俺が同じ班だとしゃべらなくなるの?
何回席替えしても、しゃべらないからね。俺に気をつかってるのかな?
まぁこれを期に正しい作法を身につけるようにしなさい。(俺 、偉い。)
俺が教育者の道に進もうか考えていると、
特にうるさかった五班 六班から一際大きな声が上がった。
(何か調子のってる奴らって名字後ろの方が多い気がする。)
「じゃあ、負けたやつが片付けるんな。 最初はグー·····」
ワイワイ本当にうるさいやつらだ。
どうせこの後、負けたやつが「これ、三回勝負~」とか「男気だから。」とか言い出す。
もしくは、負け役が決まっている茶番とかだろう。
空気とやらを読まなければ、楽しくやっていけない。
そんなことの何が楽しいのだろうか?
必死に皆と話を合わせて、
特にしたくもないのに皆と同じことをする。
そんなことは疲れるはずだ。それを分かっていてもそうせずには居られない。
何故なら人は自己保身をしてないと心配だから。
何が楽しいのだろうか? そう問いかけたくせに、俺は答えを理解していた。
「龍次! トイレ行こうぜ!」二つ後ろの席の男子 菊水相馬が話かけてきた。
「嫌だよ、何で人と一緒に行く必要がある。」俺は何度目か分からない断りを入れる。
「いいじゃん~」そう言って菊水は俺を強引に引っ張っていく。
毎回お決まりのパターンだ。しょうがなく俺は菊水についていった。
これはどういうことか。俺はぼっちではなかったのか? そう思っている方も多いだろう。
俺はもう完全に脳内にいる誰かと会話する変人と化して説明を始める。
俺は正確に言うとぼっちではない。
クラスにしゃべるやつは数名いる。
だからぼっちではない。が、そいつらが友達かと聞かれれば NO!と返すし、
何か用事がないと話しかけたりはしない。そんな関係を友達とは言えないだろう。
かといって、嫌いというわけではない。
こんな俺に話しかけてくるのは優しい証拠だし、そんな優しいやつを嫌うほど、
ひねくれているつもりもない。
そして、こんな俺でも心を許せる友達がクラス外にはいる。
よって、俺はクラスであからさまにいじめを受けることもなく、[静かなやつ]というキャラを守れるのである。
まぁ他にも大きかったり小さかったりと要因はあるのだが、それはまた別の話。
俺と菊水が廊下に出ると、もう一人ついてくるやつがいた。
俺の席の一つ後ろ。加部雅彦だ。黒のメガネをかけた、オカッパ君である。
この言い方から分かったかも知れんが、俺はこいつがあまり好きではない。
周りからは仲のいい二人組に見えるらしいが、それはとても不本意である。
まず一人では何もできない。何故職員室についてってやらないといけないんだ。
そして、妙にプライドは高い。
提出物は忘れる、勉強もできない。
なのにそれを隠そうとする。素直に頼めば教えてやらんこともないのに。
プライドが高いのはいいが、なら最低限の努力はしろと思う。
そんなところを見ていると、無性にイライラしてたまらないのだ。
(もう止めよう。)人の悪口はよくない。
経験上、人の傷つきやすさは分かっている。
だから、俺は表面上仲良くする。
そういう行為が俺の嫌う、 人に合わせるということだと分かっていながら。