聴覚障害者の日常 お手話べり編
相手がいて会話を楽しむことを「おしゃべり」というなら、聴覚障害者が手話で楽しむことは「お手話べり」。
まだアタシが若い頃に手話サークルに通っていたときに、作った造語だ。
アタシは普通の学校に行っていたので、聴覚障害をもつ友人が少ない。
だから、たまに友人に会うと話がとてもはずむ。もちろん、手話でだ。
友人とアタシの家のだいたい中間地点で落ち合い、どこか喫茶店で2件ほどはしごしながら、お手話べりする。
このお手話べり、はたからみると、危ないらしい。
手がビュンビュンそこかしこにとぶので『マシンガン』と揶揄されたこともある。
その手が、テーブルの上にあるものを飛ばしたり、アタシは眼鏡をかけているのだが、その眼鏡も飛ばしたりするのだ。
飲み屋さんになると、はしも飛ばしたり、チュウハイのコップを倒したりするので、注意が必要になる。
だから、友人は心得たもので、テーブルの上にあるものを端によけてくれたりする。
それを見ると複雑なのだが、友人に会えたその日は、ささくれだった気持ちが宥められてすっきりするのだ。
花粉症に苦しむ友人に会えるのは夏になるだろうか。
また色んなものを飛ばすかもしれないけれど、今から待ち遠しい。