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影のジレンマ

作者: 横島 基尚

影・・・・



光と影と言われるように僕たち影はネガティブや陰性や闇という感情に使われる。


もちろんそうだ。光の世界もあれば闇の世界もなければ。


そうした世界で成り立っているのだから。


でも僕たちはあの世界ではどう生きればいいのだろう・・・



新宿、有楽町。言わずと知れた誘惑の繁華街。欲望と心の闇で覆われている


そんな中で生まれた僕ら、繁華街のネオンライトの人に写る影で出来た僕らは

戸惑いを隠せない。もう光に映るが本人欲望に満ち。大っぴらに闇の心剥き出しの心なのだ。


本体が闇の心で生まれた影はいったいどんな気持ちを持てばいいのだろうか。

それが影に生まれたばかり僕の気持ちだった。




正しいことをしたい。良心に従いたい。


本体の影は僕らには珍しく良心の感情だった。


本体の彼はチンピラと名乗っていて、大股に歩き、世の中に怒りを感じているようだった。


影の僕は恥ずかしかった、いかつい態度を取り、地面に唾を吐く姿など


ネオンの地面越しで付いていく影として辛かった。




そんな中ある事件が起こった。ひと気の少ない場所での喧嘩。有楽町ではよくあることだ。


しかし一人はサラリーマン風の格好で一方的にやられている。


もう一人はやくざ風の格好で、片手にナイフを取り出している。


もうすぐにでも、そのサラリーマンに飛び掛かりそうな勢いだった!


しかし僕の影を作っている本人は知らん顔!口笛を吹いている。


そのままそこを通り過ぎようとしていた。


僕は影と言うことを忘れ、思いっきり本体を動かした。


その刺されそうなサラリーマンの前に本体を動かし、大の字でやくざの前に立ちふさがった!




次の瞬間、本体の彼の胸にナイフが刺さってしまった。


やくざはそのまま逃げ、おじけづいたサラリーマンも逃げてしまった。


僕はなんて勝手なことを、本人のことも考えず、ああ・・・申し訳ない。


そして彼の命がもう少ないと悟った僕は初めて本体と違う行動をした。



影である僕が本体を胸に抱え「申し訳ないことをしてしまいました。

でもこの行動はいい行動、正しい行動だったんだよね?」そう泣きながら本人に聞いた。



すると彼は少しだけ笑った


次の瞬間




僕が影を抱えていた。




僕は胸に刺さるナイフに痛みを感じながらも、本体だった影に、感謝の気持ちで一杯になった。


死を迎えれば光も影も無くなる、でもその前に一緒になれて良かった・・・・




やがてネオン街の光と音がゆっくりと消え



僕と影は平穏の暗闇に包まれた。


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