第50話
その後、文化祭は無事に終わり、
見事私たちのクラスは1位になった。
文化祭が終わった次の土曜日、
活躍した主要メンバーでの打ち上げが行われた。
場所は、なぜかカラオケ。
集まったメンバーは、
監督をやり、色々とフォローした蓮、
ぶっつけでピアノを見事に弾いた七海、
それから劇の主要メンバーの王子役、姫役の2人と、
暇を持て余していた数名だった。
文化祭の前までは、こんな風に
男女が遊ぶなんて事ほとんどなかった。
私たちのクラスにとって、
文化祭はいい影響を与えたんだと思う。
とはいっても、カラオケは正直苦手だ。
七海に絶対といわれたから来たけれど、
流行の歌はあんまり知らないから聞く側専門になってしまう。
「ごめん、ちょっと外の空気吸ってくるね」
私は隣に座っている七海に声をかけて、
カラオケルームを出てロビーへ向かった。
歌を聞く事は嫌いじゃないけど、
盛り上がりどころが分からないから、
多分空気読めてない。
もう少し盛り上がりが収まるまで、
ロビーで時間を潰していよう。
そう思って、ロビーの長いすに腰掛けたときだった。
「おねーちゃん1人?俺たちと良いことしない?」
背後からいきなり声をかけられた。
また、前の恐怖心が蘇ってくる。
「な~んて。
こんなところで1人で座ってたら
今度は本物にナンパされっかもよ?」
そういって隣に座ったのは、蓮だった。
忠告してくれたのは感謝するけど、
今のは本気で血の気が引くほど怖かった。
やっぱり私、あの時のまま変われていない。
知らない男が近づいてくるだけで怖いと思う、
あの時の私のままずっと変われていないんだ。
「ごめん、そんなに怖がるとは思わなかった。
これ、プレゼント。文化祭のご褒美、かな?」
差し出された、小さな箱を受け取った。
結構軽い。
「これ、開けてもいい?」
私が聞くと、蓮は黙ってうなずいた。




