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第49話
「姫が、目を覚ましたわ!」
舞台裏で照明係りをやっている1人が
私たちに合図をした。
毒リンゴを食べて眠ってしまった姫の、
目覚めのときが歌の始まりだ。
姫の心情を描いたこの詩。
そして、私の気持ちを描いた詩。
どうか、届いてください。
姫から王子に届いたように、
私から、愛する貴方へ。
―――ねえ、知らなかったの。
恋がこんなにも辛いもので、
でもこんなにも素晴らしく温かいものだと。
貴方はなんでも知っていた。
この気持ちも、貴方が教えてくれたことなの。
私は今、この綺麗な自然の中で誓いましょう。
貴方を一生、愛し続けると。
そして、貴方にこの命、ささげましょう。
世界で一番、そして人生で唯一愛する貴方へ―――――
歌が終わり、幕が閉まると同時に
歓声と拍手の渦が巻き起こった。
「お疲れ様。素適な歌だったわ」
力が抜けて座り込んだ私に、
七海がそっと手を差し伸べてくれた。
今はただ、この姫のアリアが、
私のアリアとなって貴方に届くことを願います。
私に、愛の素晴らしさを教えてくれた蓮、あなたに・・・。




