第48話
そんなこんなで迎えた文化祭当日。
蓮のおかげもあってか、何のトラブルもなく
順調に準備を進めてこれた。
残るは本番のみ!と張り切っていたときだった。
イベントにはトラブルがつき物、という
担任の口癖が本当に起きるとは思っても居なかった。
「大変よ、玲奈!!」
友達が、黒い四角いものを手に持って走ってきた。
遠くからじゃよく分からないけれど、
大きさは、そうカセットテープくらい。
「カセットテープが何かの重みで割れたみたいなの!!」
まさかとは思うけれど、そのカセットテープって、
姫の歌が録音された、私の音声テープ・・・?
見事に半分に割れたカセットテープを受け取り、
張ってあるラベルを見ると、私の字が書いてある。
間違いなく、姫の歌が録音されたテープだ。
カセットテープは劇の1時間前までに
音響調節ルームに持って行かなければならないから、
今から録音し直しじゃ間に合わない。
どうしようかと相談している間にも時間は過ぎ、
前のクラスの劇は終わり、私たちの番になった。
不幸中の幸いと言うか、姫の歌は
劇中の最後に歌われるから、まだ時間はある。
とはいっても、録音で間に合うわけはないし、
だからといってカットできるものでもない。
一番最後に歌うこの歌、姫のアリアは
この劇の締めくくりとして歌う曲。
この歌で姫の一番大切な感情を歌っているから、
それを無しには今更出来ないし、
歌詞は私しか覚えていないから
歌詞を台詞として言うことも無理。
しかた・・・ないわね。
ここまでみんなが・・・そして蓮が頑張ってくれた。
それを、カセットが割れた如きで
台無しになんか出来ない。
そのために私が出来る事は、1つしかない。
自信はないけど、やらないよりはいいはず。
「いいわ。私が生で歌う。
確か、照明係りの七海がピアノ弾けたはず。
誰か七海を呼んできて頂戴」
ぶっつけ本番なんて自信ないけど、
七海とならあわせられる気がする。
だからお願い、みんな。
私に歌う勇気を下さい。




