第47話
それから数日後、私は退院した。
文化祭の準備は順調に進んでいて、
私が入院している間に配役は全て決まっていた。
練習の方はまだ台本の読み合わせ程度だけど、
男子も嫌な顔せずに参加をしている。
一番びっくりしたのは、お姫様役の男子が、
普段はクールなのにノリノリだったこと。
絶対に嫌がってやらなそうなキャラなのに、
しっかりと演じてくれている。
そして、周りの男子たちもそれをからかわず、
大真面目に取り組んでいる。
勿論女子も、楽しそうに取り組んでいるけれど。
王子様役の女子は、意外と言うべきか
やっぱりと言うべきか、七海だった。
毎年言い伝えられている、文化祭のジンクス。
文化祭の劇が終わった後、必ず1つは
ファンクラブが出来るというジンクスは、
今年は七海になりそうだ。
「なんだか、クラスの雰囲気よくなりましたね」
隣に立って読み合わせの様子を見ていた先生に、
そっとつぶやいた。
前は、男女が対立しているわけではないけれど、
協力性が薄く感じられるクラスだった。
女子は、女子同士の団結力もかなり高めで、
行事にも積極的に取り組めるタイプだったけれど、
男子はそうではなかった。
まず部活ごとのグループが多く、
男子同士の仲がよくなかった。
いや、良くなかったというよりは、
互いに関わりや関心を持とうとしていなかった。
そして、積極性がまったくと言っていいほどなく、
決める事は全部女子の意見に任せる。
与えられた仕事や、決まった事は
一応しっかりやってくれるから、それは救いだったが、
全て単独でやってしまう。
他のクラスの、頼んでもちゃんとやらない男子や、
女子の意見を全然聞かない男子、
男女が綺麗に対立している男子よりはマシだけれど、
理想のクラスとはいえない形だった。
けれど、今の雰囲気はいつもと違う。
男子同士もちゃんと仕事を通してコミュニケーションをとっているし、
男女で協力するところも多く見られている。
正直、ここまでまとまって準備が出来るとは、
去年の状況から見て思ってもいなかった。
「これな、杉田のおかげかも、な。
後期あたり学級代表にでもなるかもな」
先生は感心したように、そして面白がるように私を見た。
「最初はみんな今まで見たいに
やる気あるんだかって感じだったけど、
杉田が皆の前出て言ってたんだよ。
『ここまで鈴木が頑張ってくれたんだから、
俺たちだって頑張らなきゃダメだろ』って」
先生はニヤニヤしながら言った。
蓮のおかげ、か。
「じゃあ、私も手伝ってきます。
それと、先生。生徒同士の恋愛感情に、
あんまり首突っ込みすぎないで下さいね」
先生はつまらなそうな顔をしながら、
少し様子を見た後教室から出て行った。
蓮が一番向いていたのかもしれないね。
学級代表とか、そういったまとめる仕事に。




