第43話
「たっだいまー、おっかえりー・・・」
最近このセリフも飽きてきた。
毎日誰もいない家に帰ったとき、
無言で入るのもつまらないから
1人で返事もしているのだけれど、
だんだん飽きてきた。
カバンを机の上に置くと、
台本とクラス写真を取り出して、
机に向かって考え始めた。
配役って言われても、わかんないよ。
絶対、誰か文句言う人は居るだろうし、
考えるのも正直面倒くさい。
皆は多分、私の性格を知らない。
なんでも言われた仕事はやっているけど、
本当はかなりの面倒くさがり屋なのに・・・。
その時、チャイムが鳴って前の家のおばさんの声が聞こえた。
そういえば、今日はおばさんが来るって言ってたっけ。
前の家のおばさんは、たまに家に来てくれる。
多分母親に頼まれているんだろう。
週に1度くらい様子を見に来るように。
でも、家事は全て人並みにこなせるし、
掃除だってきちんとしている。
某人気音楽アニメの奇声を発する主人公のような
ゴミに囲まれたサバイバル生活はしていない。
「れいちゃ~ん。帰ってきてる?」
あ~、面倒くさ。
前に来ていた隣のおばさんは好きだったけど、
今来てる前の家のおばさんは正直嫌い。
最初、母親が様子を見てくれと頼んだとき、
嫌な顔をして断った。
でも母親が少し高級なケーキを持って行っただけで、
目の色を変えて引き受けた。
それからも母親が色々なものを持ってくるから、
私の世話を引き受けているんだと思う。
母親はそういう感情に気がつかない。
まあ、私はいい子ぶっているし、
成績も悪くないからあのおばさんには気に入られている。
でも、あのおばさんが気に入っているのは、
将来有能な私で、多分恩返しを期待しているだけだ。
「れいちゃ~ん?」
「はーい」
機嫌のよさそうな返事をして、
勢い良く立ち上がる。
あれ・・・?
また、目の前が・・・。
私の体、どうにかしている・・・・・・?




