第40話
「おはよう、玲奈。どうなった?」
部活の朝練が終わって教室に行くと、
女子が一気に集まってきた。
今日が脚本の締切日だから、
どんな風になったのか気になって仕方がないらしい。
「まだ内緒。先生に許可貰っていないし、
これでいいかどうかもわからないからね。
ほら、入り口で固まってたら
他の人の迷惑になっちゃうよ」
私は入り口にたかってきた女子たちを掻き分け、
窓側の自分の席に向かった。
自分で言うのもなんだけれど、
結構面白い台本になった気がする。
なかなかピンと来るものがなくて、
4日間も徹夜してしまったけれど、
昨日の夜に一番いいのが思いついてよかった。
これなら、あんまり手を加える必要もなく、
でもただの物語ではなく面白みを加えて
演じることが出来ると思うから。
「ねえ、お願い!少しだけ見せてよ」
私が席に着くと、席に何人もの女子が群がってきて、
どうしてもと頼んで読みたがる。
男子も、どうでもいいような素振りをしながら、
何人かはこちらをちらちら気にしている。
「ダメよ。内緒って言ったら内緒なの」
そんなやりとりを繰り返していたとき、
チャイムと同時に先生が教室へ入ってきた。
チャイムが鳴るとみんな一斉に
席に向かって急いで走り、着席した。
ようやく人ごみがなくなって安心しながら、
私は先生に台本を渡しに行こうと立ち上がった。
私の席は一番後ろだから、
前の先生の席に向かうために少し小走りになる。
そのときだった。
急に視界がぼやけて、まるで空間がねじれたように、
教室がぐにゃぐにゃと見え、全身の力が抜けた。
ヤバイ、また目がかすんできた。
今までは視界がぼやけるだけだったのに、
ぐにゃぐにゃして、気持ち悪い・・・。
その直後、女子の「キャー」と言う悲鳴を耳に残し、
固いものがぶつかった痛みを膝に感じながら、
気が遠くなっていき、やがて意識を失った。




