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君と見た花火  作者: 侑子
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第29話

「そうせずには居られないからに、

 決まっているじゃない」


そうせずにはいられない、か。


その理屈で行けば、私が恋するのも分かる気がする。


あれだけ辛い思いをして、涙を流して、

それでも誰かに恋をするのは。


自分には相手を不快にしてしまう秘密があって、

そのリスクを背負わなきゃいけないって

分かっているのに誰かを好きになってしまうのは。


どんなに辛くても、リスクが高くても、

誰かを愛さずにはいられないから。


私たちが音楽を奏で続けるのも、

花火職人の人たちが花火を作るのも、

そうせずにはいられないから、か。


「って、え?ちょ、どうしたの?

 なんで泣いてるの?」


由美子に言われて、はじめて泣いてることに気づく。


あの時、宿泊学習で花火を見たとき、

隣にいたのは好きな人ではなく、

大切な親友でもなく、蓮だった。


あの時は、隣に居たのが誰でも気にしなかった。


どちらかというと、友達と見たい、

なんで男女交互に並ぶの?って思っていた。


でも、今は隣に居るのが由美子で、

何故か寂しくなる。


こんなこと、由美子には失礼で言えないんだけれど。


「ごめん、ちょっと顔洗ってくる」


顔を洗うといって由美子から離れたのには、

2つの理由があった。


1つ目は、少し1人になって

気持ちを落ち着けようと思ったから。


そしてもう1つは、蓮からケータイに着信が入っていたから。


《ま~たお前泣いてただろ》


電話に出ると、私の返事を待たずにいきなり蓮はそう言った。


泣いてるって、どこかで見られてるの?


《そこにいて。今行くから》


電話が切れてすぐ、後ろから肩を優しく叩かれた。


「よ、泣き虫さん。今日はどんな事で泣いてんの?」


久しぶり、1週間ぶりだろうか。


不思議なことに、蓮と会ったら、

今までとは違う意味の涙がどんどん流れていた。


「多分、寂しかった。

 花火見るとき、隣に居なかったから・・・」


「ふーん。じゃあ、隣に居てやるよ」


蓮は、一緒に来ている友達に

由美子と合流して待っているように連絡していた。


こういうとき、由美子は顔が広いから

誰とでも仲良く待っていることが出来る。


そういう、誰とでも仲良くなれる性格、

前から結構憧れていたりする。


私も由美子みたいになれたらと思ったことが

何度も何度もあった。

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