第23話
「ちなみに、1つ疑問なんだけど。
秘密があるから付き合えないって
俺に言ってたけど、告白したときに
両思いだったら付き合ってたの?」
蓮の質問に、ふと気がつく。
あのときOKされていたら、
付き合ったんだろうか。
最初から振られる前提の告白だったけど、
多分両思いでも付き合ってはいなかった。
告白の目的は、気持ちを言葉にして伝えることで、
付き合う事は目的になかった。
その証拠に、意識はしていなかったにしろ、
告白の言葉は好きです止まりで、
付き合ってくださいは言っていない。
無意識の内に、近づきすぎるのを避けたのかもしれない。
これが、私の一つ目の秘密。
分かりやすく言うと、男性不信。
とは言っても、軽い方だとは思うけど・・・。
原因ははっきりと分かっている。
数ヶ月前に、見知らぬ人からセクハラを受けたのと、
車へ連れ込まれそうになったことが原因。
その後から、見知らぬ男性には恐怖を抱くようになり、
知っている男性は恐怖感があることはないけれど、
気がつかないうちに避けてしまう。
だから、告白したときも、
付き合ってくださいまでは言わなかったんだと思う。
好きで、両思いになれたら嬉しい。
両思いになりたいという気持ちはあったけど、
それ以上の、恋人関係になるのが怖かった。
そして何より、この秘密を知られることと、
秘密を知られて嫌われることが怖かったのかもしれない。
それから、もう1つの秘密。
私の中の、最大の秘密。
「蓮さ、血とか怪我見て気持ち悪くなったり、しない?」
蓮は不思議そうな顔をしながらも、頷いた。
一つ目の男性不信という秘密は、
人を不愉快にさせる秘密ではあっても、
人体に害が出る秘密ではない。
でも、もう1つの秘密は、人体に害が出る人もいる。
「気持ち悪くなったら、すぐに目をそらしていいよ」
私は、七海に借りた服の袖を捲り上げて、
右手にいつもはめている白い腕時計をはずす。
時計の下から出てきた見慣れた傷跡。
「もしかして・・・」
「うん。あたし、自傷癖あるから。
これが、あたしの最大の秘密、かな」
蓮の言葉をさえぎって説明をする。
私の学校は何故か腕時計が許されているから、
ナツの半袖の時期は腕時計で隠せている。
前に、怪我を見た友達が気分を悪くしたことがあって、
それ以来剥がれる恐れのある絆創膏はやめて、
なんの疑いももたれないであろう腕時計にしている。
ダメなのは分かっているけど、
気がつかないうちに切ってしまっている。
それだけ言うと、私は目をぎゅっとつぶった。




