第20話
「まず最初に、裕太との事、話すわ」
中2になって間もなく、裕太の事を好きになった。
最初のうちは誰にも言っていなかったけど、
友達数人に言ったらいつの間にか広がっていて、
気がついたときには本人の耳にまで入っていた。
まあ、恋愛の噂がすぐ広まることぐらい、
自分でも分かっていたことだったけど。
元々噂が特に早い私たちの学年では、
私が喋ったことない人まで知っていた。
でも、その話題のおかげで友達になれた人もいたから、
悪いことばかりではなかったんだけどね。
ちょうど噂が学年全体に広まりきった頃、
ある日友達からメールが届いた。
裕太がメアド交換したいって言ってるから、
私のメアドを教えていいかという内容。
好きな人とメアド交換したくても出来ない人もいるのに、
相手から聞いてきてくれるなんて・・・と喜び、
その友達を通して交換をした。
何回かメールをしているうちに恋バナになって、
私は裕太のことが好きなのを裕太に教えた。
でも、メールでの告白はあんまり好きじゃない。
大切な事はちゃんと面と向かって、が私の主義だから、
数日後にちゃんと会って告白する約束をした。
そして訪れた、約束の日。
その日、私は午後まで部活の練習があって、
終わってすぐに待ち合わせの公園へ直行した。
公園に向かっている途中、雨が降ってきて、
私は傘を持っていなかったけれど冷たさなんて感じなかった。
公園で5分くらい待っていると、
私服で傘をさした裕太が現れた。
裕太が他の公園へ移動したいというから、移動することになった。
けれど、誰かに見られると嫌だから、
10mくらい離れて歩くようにと言われた。
遠い裕太の背を見ながら、近づき過ぎないように
後ろをついて歩いたときの気持ち。
あまりにも切なくて、辛い。
ずっと伸ばしている髪をどんどん濡らしていく雨が、
いつも以上に冷たく感じた。
人のいない、真っ暗な公園で告白をして、
すぐに振られて、また帰るときは離れて歩いた。
どんどん雨が強くなっていって、
どんどん洋服が冷たくなっていくのを感じた。
でも、雨のおかげで涙を隠せる。
きっとこの涙は、振られた悲しみの涙じゃない。
一度も振り返らずに、10m前を歩く裕太の背が
あまりにも遠く見えて、辛くて悲しかった。
もう嫌だ、今すぐにでも帰りたい。
「じゃあ、家こっちだから」
最後の元気を振り絞って、偽りの笑顔を作って、
できるだけいつも通りの明るい声で言う。
裕太は振り向いて、うん、とだけ言った。
家への道を1人で歩きながら、
涙はあとからあとから流れ出てきた。
すれ違う見知らぬ通行人がみんな私のことを見ていく。
そりゃ、こんな大雨の中を、
泣きながら傘も差さずに歩いていたらね。
いつも嫌いな雨だったけど、今日だけは感謝してる。
どうか、心の芯まで冷やしきってください。




