第19話
「玲奈!よかった、目開けて・・・」
夢から覚めてそっと目を開けると、
七海の心配そうな顔が飛び込んできた。
目を開けると同時に体中から痛みを感じる。
どうやら、怪我したのは膝だけじゃなかったみたい。
「ここ姉貴の部屋。
なんか冷たいもの持ってくるから着替えておいて」
少し離れたところで蓮の声がして、
その後ドアが閉まる音がした。
七海がカバンから自分の服とタオルを取り出して、
私をベッドから起き上がらせた後、そっと渡した。
「ほら、タオルあるから涙ふきな。
玲奈、寝てる間もずっと泣いてたんだよ。
洋服は、趣味じゃないかもしれないけど
私ので我慢してね」
七海の言葉で気がついた。
今もずっと、涙が流れ続けている。
受け取ったタオルでいくら拭いても
どんどん流れ落ちてくる。
「ごめん、七海。ありがと・・・」
私は、タオルで涙を拭きながら
七海に渡された洋服に着替えた。
部活から帰ってきたままの学校指定のジャージは、
かなり血だらけで汚れていた。
そして膝や腕には無数のガーゼがはってある。
ちょうど着替え終わった頃、
蓮の母親と名乗る綺麗な女性が入ってきた。
「はじめまして、鈴木玲奈さん・・・よね?
私は蓮の母親の桃子です。
お洋服、洗濯するから預からせてもらうわね。
しばらくゆっくり休んでいってくださいな。
何かあったら、いつでも呼んで下さい」
振る舞いも言葉遣いも綺麗で、おしとやかな女性だった。
「怪我、痛む?
どうしたらこんなになるのか・・・
蓮から聞いてここ来たときビックリしたんだよ。
あ、もう着替え終わったから大丈夫だよ」
七海の合図で蓮が飲み物を持って部屋に入ってきた。
持ってきたのはレモンティー。
私がレモンティーを好きなこと、七海に聞いたんだろうか。
七海はレモンティーを飲みながら、
私が倒れていたときの事を教えてくれた。
といっても、半分は蓮から聞いた話らしく、
七海は私が寝ているときに泣いていたことしか知らないらしいけど。
一通り説明をして、レモンティーを飲み終わったら、
七海は用事があると言って帰ってしまった。
「んで、俺はどうしたらいい?
ここで話を聞いたほうがいいか、
それとも消えて一人にしたほうがいいか」
一度七海を下まで送って、返ってきた蓮が
ドアのところに立ってそう言った。
多分私が、頭の中が真っ白の状態で
何故かここの辺りまで走ってきたのは、
蓮に話を聞いてもらいたかったからだと思う。
「迷惑じゃなければ、聞いてほしい・・・」
「わかった」
蓮はベッドの横のイスに腰掛けて、
静かに私の口から出る言葉を待った。




