第17話
なんで確実に今すぐ連絡が取りたいんだろう。
今日はたまたま振り替えにしてもらったけど、
毎週今の時間は習い事でケータイは見れない状態。
もし気づいていなかったら、
ずっとメールや電話をし続けるんだろうか。
そんな呆れ半分の気持ちがありながらも、
かすかな希望も、ないとは言えなかった。
仲の良い先輩が前に話していた体験談で、
電話をしてとメールが来た後、電話をしたら
告白をされたというものがあった。
そんな事を、少しだけ期待していたのかもしれない。
でも、電話はあんまり好きじゃない。
そして、ケータイの電話番号は、
緊急連絡が必要になるときがあるかもしれない、
同じパートの友達と先輩、後輩にしか教えていない。
結局、電話は気が進まず、メールで返すことにした。
『今部活から帰ってきたから気づかなかった(汗
でもまた出かけてるからメールでいいよね?
なんで、いきなりそんな事聞くの?』
割と速いスピードで打ち込んで送信する。
出かけているというのは嘘。
電話をするのは嫌だけど、言い訳は面倒。
だから、出かけていることにすれば
電話ができない理由にもなるだろうと思った。
3分もしないうちに、返信が返ってくる。
『気になったから聞いただけ(ピース)』
やっぱり、今回もそうだったんだ。
前のメールのときもそうだった。
聞かれたから素直に「まだ好きだよ」って返したら、
「ありがと。でもごめんね」。
何度言ったって変わらない、言い損なんだ。
告白が何のためにあるのかは、人によって違う。
付き合うために言うから、付き合わないなら無駄、
なんていう人も居るだろうし、
気持ちを伝えるためだから結果は関係ない
という人もいると思う。
私はどちらかというと後者の方。
でも、その気もないのに何度も告白させるのは、
正直私の好きなやり方じゃない。
『よくわからない。
今コンクール前で一番大切なときだから、
余計なこと考えたくないから』
怒りと悲しみ、その他色々なマイナスの感情が
ごちゃごちゃに混ざり合ってこみ上げて来る中、
やっとの思いでそう打ち、送信ボタンを押した。
そして、ケータイを勢いよく閉じると、
訳もわからないまま家を飛び出した。
右手のケータイをぎゅっと握り締め、
適当に色々な道を走っていく。
少し走ると運動が苦手な私はすぐに息があがった。
それでも、ただ適当に走り続けた。
走っている途中で、ケータイのバイブが鳴った。
きっと、返信が来たんだろうと思ったけど、
ケータイを開ける勇気がなかった。
自分でも、この感情の意味が分からない。
でも、きっと口では諦めるって言っていても、
心の中では諦め切れていなかったんだ。
そう、あの時、蓮に言ったじゃない。
「振られたくらいで、簡単に嫌いにならない」
いろんな人のいろんな言葉が頭の中で木霊する。
前も見えないくらい涙があふれる中で、
気がつかないうちに七海と蓮の家の間に来ていた。
ここまで来て、体の限界を感じた。
前に七海の家に来たとき、遠い気はしなかったけど、
きっとでたらめに走ってて変な道を走ったんだろう。
息はもうすでにあがりきっている。
そして、何度も何度も転んだ膝が痛い。
多分、かなり出血している。
でも、もうだめ、一歩も動けない。
私は並んだ2人の家の前の道路に倒れこんだ。
右手にぎゅっとケータイを握り締めたまま・・・。




