第11話
ダムダムというドリブルの音と、
キュッキュッという靴のこすれる音が、
体育館に近づくにつれてだんだん大きくなる。
バスケ部特有の、バッシュがこすれる音、
何故か分からないけど私は好きだ。
「わくわくしちゃうよね。
いつも体育館の中の部活って見れないから・・・」
私の隣を楽しそうに歩く加奈。
加奈はいつも恋に頑張っていて可愛い。
そうやっていつも頑張っている子、好きだなと思う。
加奈の笑顔を見ながら重い体育館のドアを開ける。
中ではちょうど女子バスケ部が練習していて、
男子は端で休憩しながら喋っているところだった。
「そうだ、なんかジュース買ってくるよ。
加奈はここで待ってて。なんでもいいよね?」
私は加奈を残してロビーまでジュースを買いに行った。
この間に返事をもらえるといいんだけど・・・。
自動販売機で、加奈の好きなオレンジジュースと、
ジュースが飲めない私の分のお茶のボタンを押す。
晃とは最近あんまり喋っていないから
晃が誰を好きなのかとかは分からないけど、
加奈の恋が上手くいくといい。
私みたいに、辛い思いをする人は
できるだけ少ない方がいいと思うから。
「やっぱり、わざと峯川のこと一人にした?」
後ろから不意に聞きなれない声がする。
振り向くと、随分と背が伸びた晃が立っていた。
私は身長160cmと、女子の中では高い方だったし、
小学校のときは晃の方が小さかったのに、
今では見上げないと目が合わない。
いつのまにか、みんな抜かしていくんだな。
いや、今はそんなことどうでもいいんだけど・・・。
「どうせ知ってんだろ?告られたこと。
なあ、俺どうすりゃいいと思う?
正直さ、そーゆーの興味ないんだよね。
いや、恋愛じゃなくて、女そのものにさ」
そんな事、私に聞かれたって困る。
恋してる人に異性に興味ないと言われても困るし、
まず女の私に男の気持ちが分かるわけがない。
ただ、私は加奈に幸せになってほしいだけで・・・。
どうしたら、加奈にとって一番いいんだろう。
嘘をついても、付き合ってもらうこと?
それとも、正直に気持ち伝えられて、振られること?
「私は・・・あくまで私の考えだけど、
気持ちを素直に言えばいいと・・・思うよ。
だから、今私に言ったのが晃の本音なら、
そのまま言えばいいんじゃないかな。
嘘を疲れるよりよっぽどマシだと、私は思う」
言い終わるが早いか、私は体育館へ向かって走った。
私は、何もしてあげられなかった。
「はい、加奈。オレンジでいいよね?」
加奈は走って帰ってきたうえ、
暗い顔をしていた私をビックリした表情で見ていた。
どうしたのかと聞かれたけれど、
私には答える事は出来なかった。




