第31話 港街の開発
「我がディータ殿下の愛人となって、リユお嬢様を監督・監視いたします。それでなければ、安心できません」
カガシが、とんでもない提案をしてきた。
「いやいや。ご冗談を」
そんな付き合いだと、リユがのんびりできないじゃん。
説得を試みたが、カガシは単に僕が遠慮していると取ってしまったようだ。
「房中術ならおまかせを。見事殿下を、昇天させて差し上げます」
「いらん。マジでお気遣いなく」
「リユお嬢様からは毎夜、愛を賜われるのでしょう? 我なら、リユお嬢様が恥ずかしがってできないことも、お引き受けいたしますよ」
「別にいいんだよ。そんなの」
第一、リユとも性的な関係なんて結んでいないよ。
「ホントに、愛人なんて、僕にはいらないんだ。リユ一人だけでも、持て余しているくらいだし」
「なぜです? すでに、美少女を二人もはべらせているというのに?」
あー、なるほど。読めた。
この娘、ヘニーとレフィーメを僕の愛人だと思っているのか。
「勘違いも甚だしいですっ。わたしは、領主ディータさまの愛人ではありません。そんなのおこがましいです」
「ディータは、実験仲間。やましい関係はない」
美少女のお二人さんも、不満をもらす。
「失礼しました。聞けば我より、身分の高い方々ではありませんか。下僕が、失礼な言動をしました」
「こんなヤツじゃ。早合点が多いやつじゃが、悪気はないんじゃ。アタシの顔に免じて、ご勘弁できんか?」
リユが呆れる。
ここはリユの顔に免じて、お咎めなしでいいや。
「理解できません。海でも眺めながら、夜明けのコーヒーでも飲んでいるのかと思いました」
「んなこたあないよ。どんだけ妄想が激し……あっ」
海、というワードが出てきて、ようやく思い出す。
「それより、海賊だよ。今後のために、港街を作ろう」
今だと、簡単な停留所しかない。ホントに物資を運ぶだけの設備となっている。
本当は、もっと遅い時期に着手するつもりだった。海賊に目をつけられたくなかったからだ。
だが海賊を退治するのに、いちいちバリナンで船を借りるわけにはいかない。
「せっかくじゃし、バリナンにも話をつけておけばよかろうよ。ディータ」
「お世話になってもいいのかな?」
「ええよ。我が国に、恩を着せることができようて」
あえて船の開発に協力したほうが、バリナンとしてもプラスと思われるか。リユの意見に乗るのもいいかもね。
「もう帰ってきたのかい? ディータ王子」
「はい。海賊に襲われた人たちの保護をお願いしたい」
バリナンの港に到着し、国王に事情を説明した。
「いいよ。王子。我らで保護しよう。感謝する。あいにく礼の品が用意できない。金ならいくらでもお支払いを」
「実は、港町を建てようかと思います。その工費・住人たちの手配をお願いしたく」
僕が提案すると、バリナン国王はゲラゲラと笑い出す。
「そんな程度でいいのかい? OKOK。ここまできたら、すべてにおいて、面倒を見ようじゃないか。ボクチャンって、太っ腹ぁ」
相変わらず、バリナン国王はノリがいい。まさにパリピである。
こうして、バリナンの協力も取り付けた。
これで、バリナンが我が海の領域を防衛してもらえる口実ができた。
「レフィーメ、大工の手配をお願いできる?」
「任せて。テッシムからも数名連れてくる」
サムズアップをしながら、レフィーメがテッシムに使いを出す。
「わたしは、資材を用意しますね」
ヘニーも、港街づくりに参加してくれた。
「あの、我は何をすれば?」
「カガシには、港街の防衛を、お願いするよ」
ここからは海近くに、非戦闘員が増える。戦闘力のない作業員のため、防衛班が必要だ。
「冒険者を数名配置するから、監督をお願いしたい」
「お安い御用だ。主」
頼もしいな、カガシは。
あとは、うまく海賊共がエサに乗っかってくれれば。
とはいえ、いきなり完成したのが「海辺のホテル」ってどうよ。
しかも、最初に泊まるのが、僕とリユとか。




