巡る個々の魂 =それぞれの想い=
訓練飛行の披露を終えて無事に地上に降りたHoly Mageクラスのパイロット生たちは、ブルーフォレスト先生とレッドリオン総司令官の前に整列していた。
その後ろには、帝国軍近衛師団第三部隊が並んでいた。
「君たちは、短期間のうちに竜のパイロット候補生として、よく頑張っていると先生たちから聞いている。今日はその成果をしっかり見せて貰った」
と、言うアランの言葉に生徒たちは敬礼をしつつ
「ありがとうございます」と、答えた。
「ほほう。君たちは立派な帝国軍騎士候補生だな」
と、アランはご満悦のようだった。
しかし、次の瞬間、その緩んだ頬を引き締めて言った。
「これから、君たちにも危険な任務に就いて貰うことがあるかもしれない。今回の黒魔術師とBlack Mageとの闘いは、国民には可能な限り気づかぬように行いたい。それが皇帝陛下のお考えなのだ」
「基本、Holy Mageの闘いとはそうであるべきと、君たちも教わっているだろう?」
「はい!」
Holy Mageの生徒たちは、スチュアートリア帝国歴史からもHoly Mageとしての闘い方を学んでいた。
「それゆえに今回も我々Holy Mageが率先して闘いの前線に出る!」
「君たちは、まだ学生だが、既に優秀なHoly Mageだと先生たちから聞いている。もちろん秀でた部分は個人により差があるのは当然だ」
「それぞれの秀でた部分に応じて協力して欲しい」
「はい!!」
と、生徒たちは大きな声で返事をした。
するとブルーフォレスト先生が言った。
「今後は、単なる飛行訓練だけではなく、あらゆる状況、あらゆる敵、あらゆる戦闘を想定しての実践訓練行う。もし、まだ実践訓練は自分には早いと思う者がいれば遠慮なく申し出て欲しい。君たちは学生だ。無理はさせたくない」
その言葉を聞いてクリストファーはアンナの顔を見た。
アンナは、元々神聖力は強く無くWhite MageクラスからHoly Mageクラスに上がって来た者だ。
ヒーリングに関して秀でているが、戦闘系の力に関しては決して優れた方ではない。
クリストファー的にはアンナに無理して欲しく無かった。
「アンナ、降りるなら今だよ?俺は君に無理して欲しくない」
と、アンナの思考に直接話しかけた。
するとアンナも精神感応力で答えた。
「心配してくれてありがとうクリス。でも、ここで断念はしたくないわ。やっと自分の竜と意思疎通が出来たんですもの」
「でも、言っちゃ悪いけれど君の戦闘能力は高くないだろ?アンナは闘うより、人を救う方が向いているよ」
と、クリスが言ったがアンナからの返事はなかった。
その後、アランは生徒ひとりひとりに言葉をかけていった。
最初に話しかけられたのはキースだった。
「君、名前は?」
「はい、キース・ウェスリー・インディゴ・ラングレーです」
「君が、インディゴ・ラングレー家のご子息か!君の父上には、我が父ラファエル・オーエン・ハイデルベルト・スチュアートリアが大変世話になったと聞いている。今のレッドリオン公国が安泰なのも君の父上のおかげと言っても過言ではない。父に代わり感謝する」
と、アランが頭を下げると、キースは慌てて言った。
「いえいえ、とんでもないことでございます。ラングレー家は、前皇帝陛下には本当に手厚くして頂き、今の広大な自領も賜りました。こちらこそ感謝いたしております」
「そうか、お互い様だな」
と、アランは嬉しそうに笑った。
「今後共、我がスチュアートリア帝国の為によろしく頼む」
「はい。もちろんです」
と、キースが答えるとトゥルリー先生がアランに耳打ちした。
「君は、まもなく卒業の予定だそうだな?」
「はい、アレキサンダー先生の面接で許可が出れば卒業です」
「卒業後は軍に所属を希望しているのか?ラングレー家長子ならば、子爵家を継ぐために戻る予定か?」
「いえ、父同様まずは帝国軍に所属して帝国の為に尽くす所存です」
「そうか、希望部署はあるか?」
「いえ。配属されればどこへでも参る覚悟です」
と、キースは確固たる決意を持って答えた。
その彼の強い決意を聞いてアランはキースの肩を叩きながら言った。
「良い覚悟だ」
そして、アランもキースに向かって確固たる態度で言った。
「君には、是非、帝国空軍所属のHoly Mage騎士になって欲しい」
「その為には、正式な帝国空軍発足は卒業しても大学内で訓練しいずれは後輩の指導にあたってくれないか?」
「はい!よろこんで!!」
と、キースは迷わず元気いっぱいに応えた。
ブルーフォレスト先生は、そのふたりのやりとりを聞いてオスカーとポリアンナを呼んで言った。
「お前たちも、彼をしっかりサポートしてやってくれ」
兄と妹は、顔を見合わせてから祖父の言葉に頷いた。
アランは、続いてクリストファーに声をかけた。
「君、名前は?」
「クリストファー・アキュラ・オレンジリバーです」
「どうだ?竜の乗り心地は?」
「快適です」
「君は、騎馬術も剣術も優れているそうだな?」
「えっ?」
クリストファーは、なぜアランが知ってるのだろうと?少し戸惑っていたが、褒められて悪い気はしない。
「少し、自信はあります」
と、緊張気味に答えた。
すると、アランはクリストファーの肩を叩いて
「頑張ってくれ!クリス君!」
と、言った。
まさか、自分の方がアランの肩を叩く日が来るとは、この時は思ってもいなかった。
未来の自分が彼の肩を叩くなんて恐れ多い事をするとは夢にも思わず、ただただアランに見とれていたクリスファーであった。
次に、アランはアンナに話しかけた。
「お嬢さん、お前を聞いても?」
と、アランは貴族の紳士らしく尋ねた。
アンナは、心の中で貴族の令嬢と思われてるのかしら?庶民なのに…と思いながら答えた。
「アンナ・ニーナ・ロゼ・ローズマリ―です、閣下」
「君は、どうして騎竜パイロットに志願したのかな?」
と、アランが尋ねた。
「はい。竜という生き物そのものに興味があったのと、空を飛んでみたかったからです」
「では、その願望は満たされたんじゃないかな?」
「はい」
と、アンナは答えながら、この人は人の心の中を透かして見ているのただろうか?と焦った。
Holy Mageは人の心を読もうと思えば可能な能力を持っている。
しかし、それはマナー違反であるので貴族で皇族である彼がそんな事をするはずはなかった。
もしも、可能性があるとしたら自分の感情が強すぎて、心のシールドが外れて漏れてしまっている場合である。
が、しかしアンナの心のシールドは完璧だった。
「これは、君の意思と決意の問題だが、空軍所属のHoly Mage騎士としてBlack Mageと闘う覚悟はあるかな?もし、その覚悟がないのならば、降りた方が良い。人には人に合った持ち場や役目というものがある」
と、アランが言った。
アンナは、やはり心を見透かされているように思えて仕方なかった。
そして、アランのオーラに目が眩みそうだったが、持ち前の気の強さを発揮し言った。
「覚悟はあります!私も帝国の役に立ちたいのです。Holy Mageとなった以上は、それが私の使命だと思ってます」
アンナの言葉を聞いてアランは笑いながら言った。
「君は、気が強いねぇ。ポリアンナ嬢と同じだね?ヒーリング術に秀でた能力を持っているのに、血気盛んだ。方法によっては、攻めも守りのひとつとではあるけどね」
アンナは、自分がからかわれているのか褒められているのかわからず苦笑いをした。
そんなアンナも、自分が彼に好戦的な態度をとる未来が来るとは予想もしていなかった。
彼らの運命の歯車が共に大きく回り出すのはまもなくである。
アランは続けて言った。
「ただ、無理はしないように。自分が本当にやるべき事を見つけた際には、いつでも降りて良いからな」
「我々帝国軍は、適材適所に有能な人材を配したいと考えている」
「それは決して恥ずかしいことでも、後ろ向きの選択でも無いという事を肝に銘じておいてくれ!」
アランは彼女が頑張り屋である事も、少し背伸びをしてでも理想に食らいつきたい性格であることを見透かしていた。
心の中を覗かなくとも、アンナからはそんな気迫がにじみ出ていたからだ。
そんな気負いや負けん気には、アラン自身も覚えが無いわけでは無い。
それが若さというものだと、236歳のアランは知っていた。
総司令官直々の心遣い溢れる言葉の意味をアンナは理解していたし、有難いとも思っていた。
「はい」と、
答えながらも彼女の決意は固かった。
彼女には、アランに言えないもうひとつの理由があった。
それは、アンナはこの大学でクリスことクリストファーと出会い常に共に切磋琢磨して来た。
彼とは魂レレベルで合うと感じており、男女の性を超えた親友、戦友、同志だと思っていた。
それゆえに、今更、自分だけ離脱するという選択肢は考えられなかった。
しかし、一方のクリストファーの方も、アランがアンナに言ったことの意味をよく理解していた。
できればアンナには危険な戦闘部隊からは離脱して欲しかった。
彼女には優れたヒーリング術がある。
それはクリスよりも勝っていた。
好戦的な部署よりも、守りに近い部署が彼女に合っているように思っていた。
それは、ある意味彼の願望も含まれていた。
アランが去った後、クリストファーはアンナに言った。
「アンナ、本当に無理してない?」
「無理してないわよ」
「レッドリオン閣下の言うことは、的を射ている気がするんだよね。俺は、アンナには、危険な部署で戦って欲しくないな」
と、真剣に心配しているクリストファーに向かったアンナが言った。
「軍の部署なんて、どこも危険でしょ?卒業したら私たちはみんな帝国軍所属のHoly Mage騎士になるのよ?配属なんて自分では決められるわけでも無いしね」
「それはそうだけれど、学生のうちから危険なことをしなくても…」
「それなら、私だって同じ思いよ。クリスに学生のうちから危険なことはして欲しくないわ」
と、アンナが言うと、その言葉に返す言葉が見つからないクリストファーだった。
「俺は、男だから…」
なんて言葉はアンナに通じるわけもなく、その言葉をぐっと飲み込んだ。
そんな離れがたいふたりが、最も危険な正に命がけの闘いに挑むことになるとは、今は知る由もなかった。
鋼竜たちの飼育・訓練場の視察と、金鱗竜部隊の飛行訓練の巡視を終えたアランが、オスカーと先生方を伴って校内に戻ろうとしていると、そこにポリアンナとリリアーナが現れて挨拶をした。
「お久しぶりですアラン様…レッドリオン公爵様」
と、リリアーナは、真っ赤な顔でアランに向かってペコリと挨拶をした。
隣のアイラも同時に深々と挨拶をした。
「おお、リリアーナじゃないか!久しぶりだな」
と、アランは嬉しそうにリリアーナの目線になり片膝を付き、リリアーナの肩に手を置いた。
まるで、孫を見る祖父の目線である。
まぁ、実際リリアーナは、まもなく16歳、アランは236歳なのだから仕方ない。
「はい、アラン様にお会いできて嬉しいです」
「うんうん、大きくなったな。どうだ?White Mageとしての勉強は進んでいるか?何か足りないものがあれば、エレノアに連絡して届けて貰うんだぞ?」
と、アランが言った。
完全にセリフも祖父のそれである。
それでも、リリアーナにとっては嬉しかった。
そして、もうそれだけで胸がいっぱいで何も言葉が出てこなかった。
「ありがとうございます」
その一言を言うだけで精一杯だった。
「これから、私もさらに忙しくなるので、なかなか会えないと思うが君は勉学に勤しんで頑張りなさい」
「この大学にいれば安全だからな」
「そういえば、レッドリオン領に戻った際にリリアーナのご両親に会って来たぞ」
リリアーナは、目を丸くして言った。
「わざわざホワイトブランチ村に行かれたのですか?」
「ああ、リリアーナのご家族に温かくもてなして貰った」
「えっ?アラン様が、家にいらしたのですか?」
「ああ、しかも泊めて頂いた」
「あんなあばら家に?アラン様がですか?」
リリアーナは、驚いて開いた口がふさがらなかった。
「父の命で、レッドリオン公国内を視察することになったので、ホワイトブランチ村やインディゴ村も視察して来たんだ。良い勉強になったぞ」
と、言ってアランはリリアーナの頭をポンポンと軽くたたいた。
アランは、リリアーナの両親から、リリアーナの曾祖母は、アモー・ロンド大陸から逃げて来たWhite Mageだと聞いてきた。
彼女は自分に魔法力は無いと思っているので、折りをみて伝えてあげようと考えていた。
しかし、今はそれをリリアーナには告げず。彼女が純粋に頑張る姿を期待していた。
「リリアーナも自分を信じて頑張って勉強しなさい」
と、言ってリリアーナにとびきりの笑顔を向けた。
リリアーナは顔から火が出るかと思うほど顔の火照りを感じながら
「はい、頑張ります。アラン様もお身体に気をつけて」
と、小さな声で言った。
「ああ、気をつける。では、またな」
と、言ってアランは、先生方や護衛騎士と共に職員棟となっている建物の中に消えて行った。
その後姿を見ながらリリアーナは涙をこらえていた。
なぜ、涙が出るのだろう?
リリアーナ自身にも全くわからなかった。
そんなリリアーナを後ろからアイラがそっと抱きしめた。
「リリアーナちゃん、捨て犬みたいになってるよ」
と、いいながらアイラはリリアーナの頭を自分の腕ですっぽり包んだ。
するとリリアーナが言った。
「捨て犬じゃないもん!お留守番犬だもん!」
アイラは、そのままリリアーナをしっかり抱きしめて言った。
「そうだね、捨てられてないもんね!でも、お留守番も寂しいよね?」
「うん」
リリアーナは、アイラの腕の中で頷いた。
「でも、私達がいるから寂しくないでしょ?」
リリアーナは、もう一度頷いてから顔を上げて言った。
「うん、だいじょぶ!ところで、アイラちゃんはオスカー様と話せたの?」
と、涙目でにやりと笑いながらアイラを見上げた。
「なによ~、泣きながら何を言ってるんだか!」
と、アイラは真っ赤な顔をして照れた。
「オスカー様はアラン様より会うチャンスはあると思うわ」
と言いながらリリアーナを自分の腕から解放した。
すると、いつの間にかノアと一緒にやって来てたポリアンナが言った。
「えっ?お兄様がどうしたって?」
アイラとリリアーナは突然現れたポリアンナに驚いて
「ひぇ~」と、叫んだ。
「やだー、何を驚いてるのよ。『ブラゴラ』を見た時みたいじゃない」
と、ポリアンナが言った。
『ブラゴラ』とは、地球のゴキブリのような害虫である。
ノアは、この手の虫は、どこでも嫌われるんだなぁと思っておかしかった。
「今は、アラン様とオスカー様が通って行ったのよ。リリアちゃん久しぶりにアラン様に会ってお話が出来て喜んでいたところなの」
と、アイラが説明した。
「そっか~。リリアちゃん。しばらくアラン様のところに居たんでしたものね」
ポリアンナが言うと
「うん。すっごく色々とお世話になったの。もう命の恩人と言っても過言でないわ」
と、言った。
「でも、なかなか会えなくて寂しいのよね」
と、アイラが言うと
「うん、でも私が立派なWhite Mageになるのを楽しみにして下さっているから頑張る!」
と、リリアーナが両腕で握りこぶしを作って見せてみんなを笑わせようとした。
ノアは、アランから
「今度またゆっくり君とふたりで話したいことがある」
と、言われたことは皆に内緒だな…と思っていた。
職員棟となっている小宮殿の会議室ではアランを囲んで、先生たちとHoly Mage騎士たちが会議をしていた。
帝国神聖力術士養成大学のヴァイオレット・フィールド校長は宰相であり、Holy Mageの先生方は、ブルーフォレスト先生以外は、全員、現役の帝国軍所属騎士であった。
ブルーフォレスト先生だけは退役軍人だったが、軍事顧問相談役としてアランのアドバイザー的存在となっていた。
「いかかでしたか閣下?」
と、ヴァイオレット・フィールド宰相がアランに尋ねた。
「そうだな。騎竜パイロット訓練と鋼竜の飼育訓練は順調だと思えた。ただやはり、今回の作戦には生徒たちも鋼竜も使うには時期尚早だな」
と、いうアランの言葉に
トゥルリー先生もブルーフォレスト先生も頷いて言った。
「鋼竜の成長は早いようですが、まだまだ飛び立つには時間がかかりそうです」
「パイロット達もまだ飛べるだけで、戦闘訓練はこれからです」
「うむ。やはり、我々だけでなんとか足りない戦力を補う事にしよう。私もここのところ竜での戦闘訓練をしている。トゥルリー大佐と、マリア少佐も万が一に備えて騎竜での戦闘訓練をしておいてくれ」
と、アランが言った。
「かしこまりました」
「ブルーフォレスト先生、御指南の程を宜しくお願い致します」
と、マリアが言うと、ブルーフォレスト先生は
「いやいや、おふたりの腕前なら騎馬戦闘と変わらないでしょう。生徒たちのような普通の竜ではもの足りないでしょうから、私の使徒のクロヴィスをお使い下さい」
と言った。
「あら、あの伝説の『赤い荒野の闘い』や2回の『エド・プロ戦争』で、先生と共に活躍したクロヴィスをお借りできるのですか?」
と、マリア先生はちょっと興奮気味で言った。
「はい、『第二回エド・プロ戦争』以来、大きな戦争がなかったのでクロヴィスも久しぶりに活躍する時が来て喜びますよ」
と、ブルーフォレスト先生が言った。
それを聞いていたオスカーが手をあげて言った。
「僭越ながらご提案よろしいですか?」
「オスカーか、発言を許す」
と、宰相であるヴァイオレット・フィールド校長が言った。
「ありがとうございます」
「さきほどアラン様から空軍の正式な発足までは、キース・ウェスリー・インディゴ・ラングレーに大学内で訓練し、いずれは指導者にとのお話でした」
「私もそれに助力するようにとのことでしたので、トゥルリー先生とマリア先生には、生徒たちに先立って、祖父の使徒のクロヴィスと私の使徒のクレイブを使って、キースと共に実践訓練をされるのは如何でしょうか?」
と、オスカーが提案すると、祖父であるブルーフォレスト先生もそれに賛同して言った。
「それは良い案だ。ついでにポリアンナもクロエと参加させれば良い訓練になるだろう。キースとクリストファーのふたりも参加させると良いだろう」
「では、明日からでも授業の合間に練習させて頂きます」
と、トゥルリーが言った。
するとアランが
「私も参加したいなぁ」
と言った。
「アラン様、遊びじゃありませんよ?」
と、マリアがたしなめた。
「ダメかぁ。シオン達と上層部の内勤家臣たちの飛行訓練だけではつまらんのだ」
とアランががっかりしたように言うと
「たまには、お呼びしますよ。でも、しばらくは我々の上達までお待ちください」
と、トゥルリーが言った。
すると、さっきまで駄々っ子のようだったアランが
「急いでくれよ?掃討作戦実行まで時間が無いからな」
と、真面目な顔で鋭く言い放った。
「御意」
「頑張ります」
いよいよ大きな歯車が動き出した。
それぞれの想いとは関係なく、複雑に糸が絡み合うように運命の糸が絡み合い、巡り合うべき人たちが巡り合う。
全ては宇宙の意思なのだろうか?




