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Beyond of Cosmos =星巡りの物語=リゲル・ラナ編  作者: 詩紡まりん
『淀む光と影』=若きMage達の誓い= リゲル歴4045年

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害虫駆除は竜に乗って?


 ノアの迷いも晴れ、魔法もぐんぐん上達していた頃、アラン発案の(スティール)(ドラゴン)を使った帝国空軍の計画が進んでいた。


 (ゴールド)(スケール)(ドラゴン)を使徒としているブルーフォレスト辺境伯の一族を中心になり、(スティール)(ドラゴン)の調教を試みていた。


「オスカー卿、鋼竜は調教できそうかね?」


 ウィリアム皇太子の執務室に呼ばれていたオスカー・エンドリケ・ブルーフォレスト卿は自信を持って

「はい」

 と、答えた。


「それは本当か?」

 いつも冷静なアランも身を乗り出して尋ねた。


「はい。鋼竜は、孵化してすぐに目にした物を親と認識するようなので、卵の時点でこちらに持ってきてうちの金鱗竜に面倒を見させてみたところ、上手く懐いてくれました」


 オスカーの説明に対してアランが疑問を持って質問した。

「だが、俺があの森で出くわした鋼竜の子供は一匹でウロウロしていた親は飛び立って行ってたぞ?」


 そんなアランの質問に対して

「はい。孵化するのを見届けると飛び去ってしまうようです。そして、時々に様子を見に来るようなのですが、その間に他の動物に襲われてしまう個体も多いようです」

 と、自分たちの調べた鋼竜の生態について報告した。


「そうか、竜は長く生きる生き物だから、そんなに数が増えてしまっても生態系が崩れてしまうから自然淘汰されるのかもだな」

 と、アランが言った。


「はい。ですから、我々が自然に間引きされる数より少ない卵を採取して育てるのが賢明かと思われます。」

「そうだオスカーの言う通りだろうな。そこは、よく確認して適量を採取するようにしてくれ。いずれは、竜たちの繁殖場を作れるようにしたものだな」

 と、いうウィリアム皇太子もアラン共に空軍設立を急ぎたかった。

 それが、Black(ブラック) Mage( マギ )との闘いの切り札にもなる気がしていたからだ。

 常に危険にさらされている辺境伯家の使徒である竜に頼ってばかりはいられない。


 するとオスカーが言った。

「殿下、アラン閣下。これは父の提案なのですが、我が辺境伯領内に生息している金鱗竜も調教して、空軍用の(ドラゴン)にしては如何かと?」


「それは有難い提案だが、それでは辺境伯領の守りに支障が出るのでは無いか?」


「いえ、閣下。金鱗竜は、かなり長寿の生き物ですから、我々の何代も同じ竜が使徒として使えてくれています。当家の家臣が乗りこなせる竜も十分におりますので、野生の金鱗竜を鋼竜と共に訓練しようかと思っています」

「なるほど、2種類の竜の部隊が出来るというわけだな」

「はい。金鱗竜の方は、同種の使徒が居ますので、訓練も早く進むかと」


 ウィリアム皇太子とアラン執務大臣は、非常に有難い申し出だと思った。

「やはり、使徒の竜とは違うから、パイロットも訓練が必要だな?」


「はい。そうだと思います。訓練が入ったものから我々が試飛行パイロットは行いますが、やはり専用のパイロット訓練は必要でしょう」


 アランは、オスカーの答えを聞いてから少し考えて言った。

「まだ、幼い竜を数頭、帝国神聖力術士養成大学で育てることは出来ないか?Holy(ホーリー) Mage( マギ )の生徒の使徒候補でも良い、学生の頃から竜に慣らせておきたいと思うがどうだろうか?」


 オスカーは、アランの提案に少し驚いていたが

「そうですねぇ…」

 と、思案してから言った。

「うちのポリアンナを寮に『ミラ・ローズ宮』に入寮させましょう。彼女の使徒のクロエは、クロヴィスの子供でまだ若いのですが、優秀な竜です。さらなる能力の向上はポリアンナのHoly Mageとしての成長次第ですが、クロエなら竜の子供たちと上手くやれると思います」

「なるほど、子供でも野生の竜の世話は素人には無理か!」

「はい。まずは一頭ずつ飼育をした方が良いかと」

「なるほど、ポリアンナ嬢とクロエか!ブルーフォレスト辺境伯と先生が許してくれるかな?」

 と、アランは良い提案かとは思いつつもちょっと躊躇していた。


「いえ、殿下と閣下の命令とあれば、さすがに父も祖父も許可せざるを得ないでしょう。それに、『ミラ・ローズ宮』の方が安全かもしれません」

 と、オスカーが眉をひそめて言った。


「やはり、辺境伯家はマークされているのか?」

 と、オスカーの含みのある言葉から状況を察したアランが言った。


「おそらく。学校の登下校にはHoly MageとWhite Mageの騎士をつけています」

「そうか。では、そのことは私が辺境伯と先生とご相談することにする。竜たちの調教と訓練は引き続き頼む」

 と、アランが言うと

「辺境伯家には、いつも苦労を掛けるが宜しく頼む。辺境伯と先生にも伝えてくれ」

 と、ウィリアム皇太子もブルーフォレスト家の働きを労った。


「御意!」

 そう言ってオスカーは敬礼をして皇太子の執務室から出て行った。


 残ったウィリアム皇太子とアラン執務大臣は、ふたりで引き続き話し合っていた。

「やはり、もう放ってはいけないな」

 と、ウィリウム皇太子が強い口調で言った。


「そろそろ、一斉に『大黒主神教』の教会を取り締まるか?」

 アランも帝都内での黒魔術師達の動きは目に余るものがあると感じていた。


「しかし、まだ大元のBlack(ブラック) Mage( マギ )が何人入り込んでいるのかはっきりしていない。雑魚だけ捕まえて、Black Mageを逃がすことになりそうだから迷うところだ」


 判断に迷うアランがウィリアムに聞いた。

「ウィル、おまえの予知ではわからないか?今、動くべきか?先延ばしすべきか?」

 と、アランに尋ねられたウィリアム殿下は言った。


「こんなことを言ったら、アラン、おまえに叱られそうだが、どちらでも未来は変わらない」

「例え、今回のBlack Mageを全て捕まえても、また新たなBlack Mageは現れる」


 アランは、ウィリアムの答えを聞いて笑いながら言った。

「まるで、皆から嫌われている黒い害虫『ブラゴラ』のようだな?」

「あはは・・ブラゴラか!そうだな。どちらも黒い嫌われものだからな」

 と、ウィリアムも笑いながら答えて言った。


「つまり、出るたびに退治するしか無いということだな」

「アランには苦労をかけるが、そういう事になる。アモー・ロンド大陸にはBlack(ブラック) Mage( マギ )の牛耳る国もあるらしいからな。完全に巣を駆除しない限り害虫はいくらでも沸いて出て来る」

「そうだな。竜の空軍部隊が出来たら、竜に乗って害虫駆除しに行くか?」

 と、アランが言うと

「それは良いな」

 と、ウィリアムも言った。


 そんな和やかなやり取りがあった後に、ふたりとも真摯な表情に戻った。

 そして、アランが言った。

「という世迷言は置いとくとして、まずは帝国民の安全と平和な生活を守るには、帝国内の害虫駆除が我々の仕事だな」

 執務大臣兼スチュアートリア帝国軍総司令官のアラン・クレオ・ハイデルベルト・レッドリオンは決意していた。

「まずは帝都内の害虫『ブラゴラ』から駆除する!」


 アランは、その足で同じルデ・トロア宮殿内にあるスチュアートリア帝国軍本部に移動した。

 そして、総司令官執務室にシオン・ミッシェル・ヴァイオレット・フィールド参謀室長を呼んだ。

「帝都内の『大黒主神教』の関連施設はリストアップ出来ているかい?」

 と、シオン参謀に聞いた。


「はい。帝都内の各地区の施設は完璧に把握できています。他の領地のものは、まだ曖昧な所もありますが、帝国内の関連施設は、ほぼ把握しております」

 と、シオンは自分の仕事っぷりをアランに褒めて欲しそうに言った。


「そうか、それはご苦労だった。いつも助かるよ、シオン」

 と、アランはいつもシオンが言って欲しいことを言ってくれる。


「それで、黒魔術師とBlack(ブラック) Mage( マギ )の数は判明しているのかな?」


「それは、なかなか難しいところです。敵も悪賢いもので…。でも、各施設にひとりは黒魔術師が居ると思われます。それを牛耳っているBlack Mageが居るはずなのですが、なかなか正体がつかめません」

 と、シオンは、ちょっと申し訳なさそうに言った。


「いや、そこまで調べ上げてくれただけでも助かる。父上と叔父上の時もBlack(ブラック) Mage( マギ )の数どころか正体も、とうとう掴めなかったようだからな」


「常にトカゲの尻尾切ですねぇ。Black(ブラック) Mage( マギ )は自分が危うくなると海の向こうに逃げてしまうようです」


「ブラゴラの巣は、海の向こうだからな」


「え?」

 虫が嫌いなシオンは、思わず大嫌いな虫の名前が出て来て思わず聞き返した。

「ブラゴラですか?あの黒くてテカテカしていて何処にでもカサカサ居る気持ち悪い害虫?」

 と、鳥肌を立てながら言うシオンに平然と笑って答えるアラン。


「そうだ。ブラゴラみただろ?」


 シオンは、アラン様じゃなければぶん殴ってるところだと思っていた。

 だが、Black Mageをブラゴラに例えるアランをナイス!とも思っていた。


「帝都の『大黒主神教』施設の掃討作戦は、しっかり練らねばならん。それは、シオン参謀!君の役目だ。頼むぞ」

「はい。しっかり練ります」

「辺境伯地の『大黒主神教』の教団施設に居た者たちを捕縛して尋問したらしが、そのせいで辺境伯の令嬢が狙われるようになってしまったからな。十分に考慮して作戦を練ってくれ」

「心して、慎重に作戦を立てさせて頂きます」


 こうして、帝都内の『大黒主神教』掃討作戦が練られることとなった。

 まずは、『大黒主神教』に洗脳された帝都民の解呪をしなければならない。

 できるだけ、帝都民の安全を配慮することが優先された。


 帝都のブルーフォレスト邸では、オスカーは宮廷で話したことを祖父に報告していた。

 祖父のイーサン・バルナバーシュ・ブルーフォレストは、現アレクサンドル皇帝と、アランの父であるラファエル元皇帝と共に帝国を守って来た歴戦の騎士である。


「そうだな。登校時は私と一緒に登校出来るが、帰りは毎回一緒にというわけにも行かぬしな。このままこの屋敷からポリアンナを大学に通わせるよりもミラ・ローズから通う方が安全かもしれん。ポリアンナはどう思う?」

 と、祖父のイーサンは孫のポリアンナに言った。


 そう祖父に問われたポリアンナは少し考えてから言った。

「辺境伯家の優秀な騎士のみなさんが護衛して下さるので、通学の心配はしておりませんが、大学での鋼竜の飼育は、私とクロエに適任かと思われます」


「では、ミラ・ローズへの入寮を希望すると?」


「はい。それにお友達と共に勉強する時間が増えるのは私にとってプラスになるとも思っていますから」

 と、ポリアンナは自信を持って答えた。


 その様子を横で腕組みをしながら聞いていたオスカーが言った。

「ポリアンナの本音はそこだろう?」


 ポリアンナは兄の言葉に、いつものように憤慨することなく

「両方ですわ。お兄様」

 と、冷静に答えた。


 この話を進めてくれたのは兄のオスカーである。

 もちろん、リリアーナやアイラ、ノア達と会う機会が増える寮での生活も楽しみではある。

 だが、自分とクロエをアランの空軍設立構想の手助けとして兄が推薦してくれた事を誇らしく思っていた。

 なので、兄が自分をHoly Mage候補として、辺境伯家の一員としての能力を認めてくれていると思って素直に嬉しかった。


「そうか、今日はやけに素直だな、ポリー」

 と、いつになく素直な妹の対応がむず痒い兄であった。


「あら、お兄様は反抗的な女性がお好み?」

 と、ポリアンナはいつも通りに兄に言い返した。


「いやね。ポリーは、ポリーらしくないとね?あまり素直過ぎると体調が悪いのかと思ってしまうからさ」

 と、いつもの生意気な妹にホッとする兄であった。


 やれやれ、この男は、私に似て勝気な女が好きなのかもしれんな。

 と、その様子を見ていた祖父のイーサンは思っていた。


 何はともあれ、こうしてポリアンナも「ミラ・ローズ宮」に入寮することとなった。

 アイラとリリアーナは大喜びでポリアンナの入寮を大歓迎だった。

 すぐに、三人でアイラの部屋に集まり女子会が始まっていた。


「大学では、Holy(ホーリー) Mage( マギ )クラスとWhite (ホワイト)Mage( マギ )じゃ、なかなか一緒に慣れないから、寮なら夕食を一緒に出来るから嬉しいね」

 と、リリアーナが言うと、アイラも

「ポリーちゃんのおうちにお泊りした事を思い出すね」

 と、言った。


「ほんと、私だけ自邸からの通学でちょっと疎外感だったのよ」

 と、ポリアンナが言うと、アイラが意味あり気ににやりとしながら言った。


「男子棟にはノア君も居るしね?」

「そうそう、こんなに早くノア君がWhite Mageクラスに編入して来るなんてビックリしちゃったわ!」

「レイマーシャロル地区で会った時には、こんなふうに同じ寮で暮らすことになるなんて予想も出来なかったもんね?」

「縁って不思議よねぇ?」

 というリリアーナと、アイラの言葉に

「私も、それは感じているわ。彼とは不思議な縁を感じるの」

 と、ポリアンナが言うとアイラが興奮して言った。

「えっ?もしかして、ポリーちゃんのツインレイ?」

「ううん、そんなんじゃなくて…なんていうんだろ?予知じゃないけれど、初めて会った気がしないというか、会うべくして出会ったというか」

「ポーちゃん、予知能力もあったの?」

「んー、わからないんだけれど、帝国神聖力術士養成大学で学ぶようになって、辺境伯領の城に居た頃とは違う何かを感じるようになったの」

「そっか~、ポリーちゃん元々、神聖力(ホーリーパワー)が優れているものね」

「でも、ポリーちゃん、ノア君のことは気になるのでしょう?」

「うん、ちょっとね」

「きゃ~」

 と、かしましい三人娘の声はミラ・ローズ宮の廊下にまで響いていた。


 そして、三人の女子会は

「あなた方、消灯時間はおマリ下さいな」

 と、言うプリシラ副寮長のドアをノックする音と共に叱られてお開きとなったのでした。


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