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Beyond of Cosmos =星巡りの物語=リゲル・ラナ編  作者: 詩紡まりん
『スチュアートリア帝国とその歴史』=運命の出会いと黒い影= リゲル歴3809年

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24/71

ツインレイ = ひかれ合う魂 =


 太古の昔、人は同じひとつの星に生まれた。


 生も死も、善も悪も、男女も無く、人の肉体と魂はひとつで、ただ平和で穏やかな世界だった。


 しかし、人はそんな平和で刺激の無い世界に飽き足らず、ある日、肉体は男女に分かれ魂もふたつに引き裂かれ、人は死ぬようになった。


 死は肉体を滅ぼし、魂だけが別の星に送られた。


 やがて、その魂は再び新たな肉体を持ち、魂をその星で磨く使命が与えられた。

 人は、星に生まれ、死に、また新たな星に生まれる。

 その魂のレベルに応じた星に転生を繰り返し、人の生は星巡りとして繰り返されている。

 その全てが、宇宙(せかい)を司る法則なのである。

 その法則を司る存在を、人間が理解できる名前で呼ぶならば神と呼べるだろう。

 しかし、その存在は人知を超えたものであり、人間にはおよそ理解できないものなのである。


 そんな中で人は、自分自身の魂の片割れであるツインレイを探し求めるようになった。

 無数にある星の中で転生した星で、己のツインレイは出会うことは困難である。

 それだけに己の魂の半分であるツインレイを求めてやまないのである。



 =エド・ロア王国=


 スチュアートリア帝国の招待客一行がエド・ロア王国に到着した翌日。

 エド・ロア国王とラファエル達の会談の場が設けられた。


 スチュアートリア帝国の引退した前皇帝夫妻を招待したつもりが、現皇帝自ら弟の皇太子を伴って来たことに驚きつつも、なかなか会えない皇帝陛下に会えたことを光栄に思っていた。

 国としての格は、スチュアートリア帝国が格段上なのである。


 しかし、そんな尊大なそぶりもみせない若き、いや若く見える254歳の皇帝はエド・ロアの誇りを損なわないように十分に配慮してくれていた。


 エド・ロア国側もある程度は、ブロッサン国の動きが活発になっていること、国王派と将軍派のそれぞれにBlack Mageがついており、エド・ロアへの侵略をそそのかしいているらしいことも把握しているようだった。


 たが、ブロッサン国が近日中に攻め込もうとしているとは、予想していなかった。

「スチュアートリア皇帝陛下のご提案通り、早速、軍備を強化し、ご指摘の位置に兵を置きましょう」

 と、 国王は言った。


 ラファエルは、皇帝として帝国の立場をはっきり示して言った。

「我スチュアートリア帝国軍は、表立って援軍を送ることはできませんが、国境付近の軍備は固めてありますので、もし民間人が逃げて来ることがあればお守りしますし、敵が攻め込んでくれば応戦致します。また、エードリア海北部には、帝国海軍を配備させてありますので、海からの攻撃があればそちらが支援いたします」

 ラファエル皇帝の言うことは、強大な帝国とその国民の命を預かり統べる者としての当然の言葉だった。


 そんな皇帝の精いっぱいの支援にエド・ロア国王は、心から感謝して言った。

「それは助かります。それで、宮廷内はどう致しますかな?」


「ブロッサン国からの密偵や刺客は泳がせておきましょう。実際に動き出したところを現行犯で捕縛します。国王陛下は、招待された貴族の皆様の安全を第一に警護を万全にお願い致します」

 ラファエルは、あくまでも自分がHoly(ホーリー) Mage( マギ )であることは言わなかった。


「わかりました、我が国にもWhite (ホワイト)Mage(マギ)の騎士もおるので、その者たちに警備をさせます」

「招待客にブロッサン国の第三王子と将軍の息子もいるのでマークする必要ありですな?」


 舞踏会は中止せず仮面舞踏会として開催するというふれ込みにして敵を勇断させる作戦にした。

 仮面などしていてもHoly(ホーリー) Mage( マギ )には関係ないなのである。


「そうですね。予定通り舞踏会は開催して下さい」

「我々のことは、スチュアートリア帝国から来た侯爵と伯爵ということでご紹介願います」

「こちらが油断していると思わせておけば、その分、軍の配置準備の時間を稼げますから」


 こうして、エド・ロア国王の生誕祭が盛大に行われ、建国祭の舞踏会が開催された。

  スチュアートリア帝国から元皇帝夫妻の代理で来たという、若い侯爵と伯爵に人々は興味津々で、特に若い貴族の女性たちは色めき立っていた。

 仮面で素顔を隠したラファエルとアレクサンドルであったが、そのスラリとした容姿は誰の目も惹くものであり、多くの若い女性が戦々恐々としダンスパートナーに選ばれるのを期待していた。

  ラファエルとアレクサンドルは怪しまれないように、気乗りしないながらも数人の女性を相手に踊った。


 数曲踊り終えてから、マリエッタ王女を見つけたラファエルは、ワイングラスを両手に王女の元へ行き声を掛けた。

「お嬢さん、一杯いかがですか?」

 そう言いながら片方のグラスを渡した。

 マリエッタ王女は、にこやかにグラスを受け取りながら

「ありがとございます」

 と、言ってから少し照れたように視線を外した。


 あれ以来、ラファエルを意識してまっすぐ顔を見られないのである。

 聡明で、冷静で、ちょっとお転婆で、行動的で有名だったマリエッタ王女がすっかりしおらしくなっていた。


 ラファエルは、

「お嬢さん、一曲お相手願えますか?」

 と、言うと

「はい、喜んで」

 と、答えた王女のグラスを受け取り、自分のグラスと共に近くに居た給仕のトレーの上に置いた。


 ふたりは、音楽が始まると同時に踊り始めた。

「マリエッタ王女、今宵のドレス姿は一段と美しいですね」

 と、ラファエルが言うと、王女は真っ赤になってうつむいた。

 そして、

「今は、そんなことをおっしゃっている場合では無いのでは?」

 と、精一杯の強がりを言ってみせた。


「確かにそうです。ブロッサン国の王子と将軍の息子は見かけられましたか?」

 と、ラファエルが言うと、

「はい、ダンスを申しこまれそうになったので逃げました」

 と、笑った。


「それは、それは…。でも、いつまでも逃げるのは大変かもしれませんね?」

 彼らから必死で逃げていた王女は、ラファエルの返事が気にさわったのか

「侯爵様は、私をお守りくださるのではなかったでしょうか?」

 と、マリエッタが少し怒ったように言った。

 しかし、ラファエルはそんな彼女のお怒りに全く意を介さないように

「もちろん、命をかけてお守りしますよ」

 と、微笑んだ。

 254歳の皇帝に18歳の王女が勝てるわけがないのである。


 一曲踊り終わったところで、ラファエルの脳に

「ブロッサン国の密偵を見つけました。捕獲しますか?」

 という使徒のトリスタンからのテレパシーでの報告が届いた。


 ラファエルは、

「生け捕りにしろ、すぐ向かう!」

 と、頭の中で答えてから

「王女、この部屋から絶対に出ないで下さい。私のいない間でも私の部下があなたをお守りしますので」

 ラファエルは、マリエッタ王女にそう言い残して大広間から足早に出て行った。

 大広間に残された王女は、寂しさを隠せずに佇んでいたが、次のダンスの申し込みをする殿方が殺到してそれどころではなくなっていた。


 密偵(スパイ)を見つけたのは、ラファエルの使徒のトリスタンと、ブルーフォレスト少将の部下たちだった。

 彼らが捕縛したブロッサンの密偵(スパイ)を個室に連行してラファエルが直々に詰問したが、案の定、密偵は答えなかった。


 仕方が無いのでラファエルは、

「おれの目を見ろ!」

 と、言って密偵の脳内に入り込み、心を読んだ。


 Holy(ホーリー) Mage( マギ )は、人の心を読むことが可能である。

 自然に漏れ出た感情や思考であるなら、思考を読まれた本人も気づかず何の影響も無いが、強制的に読まれて抵抗すると脳に多少のダメージを受けることがある。

 それゆえに簡単には使わない術ではあるのだが、今回の場合は仕方ない。

 密偵は、ぶつぶつと小さな声で抵抗していたが、ラファエルに思考を読まれて気絶した。


 そして、ブロッサン国の企みを知ったラファエルはテレパシーで、アレクサンドル殿下とブルーフォレスト少将に話しかけた。


「アレクサンドル今どこに居る?」

「舞踏会会場で女性に囲まれて身動きとれません!」


「ブルーフォレスト少将は?」

「同じく会場内で、ダンスのお相手をしながらマリエッタ王女をマークしております」


 それを聞いたラファエルは、ブルーフォレスト少将に尋ねた。

「王女は、今?」


「現在、ブロッサン国の第三王子を相手に踊っておられます」


「なに!!」

 ブルーフォレスト少将の返答を受けて、ラファエルは慌てて舞踏会場である大広間に戻った。


「王女はどこだ?」

 と、捜しながら再びテレパシーでふたりに呼びかけた。


「この舞踏会の最中に第三王子を刺客が刺す計画らしい。この会場にブロッサンの刺客が複数人紛れ込んでいる」

 そう呼びかけながら、広間内を見回した。


「あそこに三人、むこうにふたりだ。懐に短剣を隠し持って王子を狙っている」

「俺は、あちらの三人を捉える。アレクサンドルは後ろのふたりを頼む!」


 ラファエルは、人の目には見えない速さで移動すると、あっという間に三人を立ったまま眠らせ、短剣を奪い取った。


 するとどこからともなく縄を持った衛兵がやって来て、彼らを縛って連行して行った。

 アレクサンドル殿下も同じように刺客達から短剣を奪い取ると、衛兵に捕縛させた。


 アレクサンドル殿下を取り囲んでいた女性たちは、突然目の前から殿下が消えて右往左往していたが、すぐに別の色男を捜しに散って行った。


 ほっとしたのも束の間、刺客たちがいつまで経っても第三王子を襲わないことにしびれを切らした将軍の息子が、マリエッタ王女と踊っている第三王子めがけ短剣を持って突進して行った。


 将軍の息子の短剣が第三王子に刺さると思った瞬間、第三王子がターンをしてマリエッタ王女と位置入れ替わった。

 そして、その剣がマリエッタ王女に刺さり、ポタポタと床に赤い血が流れ落ちた…

 と、周りに居た誰もがそう思った。


「へい…か、侯爵様!」

 マリエッタ王女が、両手で顔を覆って叫ぶと、わき腹を抑えたラファエルが

「だいじょうぶだ。」

 と、言いながら、マリエッタ達のすぐ後ろで踊っていたブルーフォレスト少将に目で合図をした。

 自分が刺されそうになったことに驚いた第三王子と、刺す相手を間違えたことを悟った将軍の息子は、どちらも呆然としていた。

 そこへ、ラファエル達の部下たちが来て、ブロッサン国のふたりを抑えると遅れてやって来たエド・ロアの兵士達に連行されて行った。


 Holy(ホーリー) Mage( マギ )は、肉体強化と治癒能力にも長けていたので、生死にかかわる深手でもない限り、これくらいの傷の回復は造作もなかった。


 そんなことを知らないマリエッタ王女は、ラファエル皇帝に駆け寄り

「侯爵様、お怪我は!!」

 と、真っ青な顔でラファエルを見た。


「心配ないですよ。ほら、ぴんぴんしています」

 と、笑顔で両腕をぐるぐる回して見せた。


 会場はごったがえしていたし、間近に居わせた者以外は、酔った者も多かったので、酔っ払い同士の喧嘩でもあったのだろうと思われていた。

 間近で見ていた者に対しては、Holy(ホーリー) Mage( マギ )の部下達が記憶を消した。


 それから、ラファエル達はマリエッタ王女を伴い、再び大広間を出ると、

「その者たちは、密偵と刺客たちと共に牢に入れておけ!一応、Black(ブラック) Mage( マギ )が含まれているかもしれないから、二重に結界を張っておくように!!」

 と、ラファエル陛下が命じた。


 ラファエルの怪我の心配をしながらマリエッタがこの国の王女らしく、

「舞踏会にお越しの皆様には、お知らせせずこのままで良いのですか?」

 と、招待客たちを気遣って尋ねた。


「今は、下手に王宮の外に出るよりも、王宮内にいる方が安全です。戦況を確認し、安全と思えるタイミングでお帰り頂くのが宜しいでしょう」

 と、ラファエルが答えたので、マリエッタ王女もその提案に納得した。


 ブロッサン国側は、刺客に王子を殺害させ、それを見届けた将軍の息子が帰国し次第、「自国の王子が殺害された」という理由で攻め込むつもりでいた。

 しかし、いつまでも経っても、王子殺害の報告も、将軍の息子も帰国しない。

 業を煮やしたブロッサン軍は、国王が止めるのも聞かず、将軍の指示で軍事進攻に及んだ。


 ブロッサン軍側は、不意打ちで襲撃したつもりであったが、アレクサンドルの予知のおかげで、奇襲攻撃をしかける場所もタイミングもエド・ロア国軍は察知していた。

 ターゲット地点には、あらかじめ兵が配備されており、ブロッサン軍の攻撃はことごとく裏目に出た。

 また、戻って来るはずの将軍の息子も王子も現れず軍の士気はあがらず、国内が二分されたままの戦況下では、兵の数でも勝っているエド・ロア国に勝てるわけはなかった。

 陸路での闘いで苦戦している中、海から攻めることも考えたブロッサン軍だったが、海には海賊に扮したスチュアートリア帝国海軍が待ち構えており海には出られなかった。


 こうして、エド・ロア対ブロッサンの「エド・ブロ戦争」はブロッサン国の惨敗で終結した。


 アレクサンドルの予知通り、スチュアートリア帝国軍は一歩も動くことはなかった。

 ブロッサン国の密偵と刺客は、エド・ロアで処刑されたが、第三王子と将軍の息子はブロッサン国に捕虜として引き渡された。

 こうして、「第一回エド・ブロ戦争」は終結したのである。


 そう、第一回ということは、二回があるのである。

 懲りない連中であるが、その話はまた今度。


 今は、彼と彼女の話に戻ろう。


 エド・ロア国王は、ラファエル皇帝に心からの感謝を述べた。

「今回の戦争は、スチュアートリア帝国皇帝陛下のご尽力無くしては、こんなに被害も少なく、早く終わる事もなかったでしょう」

「いや、王宮内も無事では済まなかったかもしれませぬ。本当に心から感謝申し上げます」

「これからも我が国の友好国でいて欲しいと心から願います」

「今回のお礼と友好の証に何か贈りたいと思うのですが、何か御所望のものはございますか?」

 と、いうエド・ロア国王は、お礼をしたいと申し出た。


 その申し出に対して、スチュアートリア皇帝ラファエルは言った。

「いやいや、戦争は大地を枯らし、民衆に不安と恐怖を与えるものですから、隣国の危機は我が国にとっても捨ててはおけない脅威ですので」

 と、言って少しだけ考えていた様子だったが、

「これからも両国の人や物が滞りなく安全に往来し、交易が出来るように友好な関係を続けられれば十分です」

 そう言ってエド・ロア国王の申し出を丁寧に断った。

 ただ、国王による戦勝祝賀の宴には参加してから帰路についた。

 その祝宴の席でも、舞踏会でも、マリエッタ王女は憂鬱そうだった。

 ラファエル陛下は、相変わらず冷静でにこやかに全ての人に対応していた。

 最後まで帝国から来た、独身の伯爵という事になっていたので、仮面を外した伯爵は若い女性から大人気だった。

 常に若い女性たちに囲まれたまま祝宴は終わったのである。


 ラファエル達スチュアートリア帝国一行が帰国する日となり、エド・ロア迎賓離宮から出発することとなった。

 エド・ロア国王は、精一杯の感謝を込めて、スチュアートリア帝国までの道のりを多くの騎士を付けて国境まで見送った。

 マリエッタ王女もラファエル皇帝一行を見送るため、自分の愛馬に乗ってスチュアートリア帝国との国境まで同行した。

 ここから帝国に入るというところまで行くとラファエルは馬車を停めた。

 そして、ひとり馬車から降りて、馬上のマリエッタの手をとって言った。


「見送りありがとうございます」

「私はあなたとの別れが一番つらい」


 すると、今まで我慢していたマリエッタ王女の思いが一気に涙となってあふれ出した。

「私も…です。」

「私も、他の殿方のところへ嫁ぐことになるのが…つらいです」

 そうマリエッタが言うと、ラファエルは突然、彼女の愛馬に飛び乗った。

 驚く王女を抱きかかえるようにして、彼女の手に握られていた手綱を取ると、あっけにとられている王女の供の者にこう言い放った。


「帰って国王に、ご伝言をお願いする!」

「気が変わった!! 両国の友好の証として王女を嫁に頂いて参る!」


 そういうと、ラファエルは帝国領土内に向かって馬を走らせた。

 そのあとを、アレク サンドル殿下を乗せた馬車、馬に乗ったブルーフォレスト少将とその部下達が続いた。


 揺れる馬車内にひとり残されたアレクサンドルがつぶやいた。


「ここまでの予知はできませんでしたが、予感はしていましたよ、兄上」

「羨ましいです」


 マリエッタ・エレナ・ローディア・エド・ロア王女。

 後のスチュアートリア皇后マリエッタ・エレナ・ローディア・スチュアートリア。

 アランの母である。




挿絵(By みてみん)


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