バレンタイン大作戦!
「よしッ! 今日こそ、あの子にチョコを貰ってやるぜ! 」
智は、クラスメイトの麻衣に恋していた。そして今日、バレンタインデーに麻衣からチョコを貰おうとしていた。だが、麻衣にもまた、好きな人が居た。
其の相手は、智の友達、夏樹である。夏樹もまた、麻衣に気があった。此の侭では、夏樹に麻衣を取られてしまう。何としても其れだけは死守したい智は、麻衣を人通りの少ない校舎裏へ呼んだ。
「なぁに智君? 私に用って」
柔い口調だが、内心怒ってるのが分る。智は焦る気持ちを抑え、丁重に自分の気持ちを伝えた。すると麻衣は「そう…」と返事をするだけで、其の後は何も言わなくなった。
二人の間に重たい沈黙が流れた。本の数秒が、長く感じてしまうのは、多分気まずいからだろう。先に口を開いたのは、智からだった。
「冗談だよ! 気にするなや…」
なんて、心にも無い事を言ってしまう。たかが告白、されど告白。勇気を振絞って気持ちを伝えても、結果は同じ。否、少し離れてしまった。
もう、友達に戻れなくなってしまう。智は不安でいっぱいになり、其の場から逃げる様に教室へ向ってダッシュした。麻衣を置いて。もう、彼女と目を合わせられない。
「……智君」
放課後。智は、五時間目の授業の途中から寝てしまい、気付いたら智と麻衣以外誰も居なかった。智は吃驚した拍子に、椅子と倒れる。室内に、ガタンッと音が鳴った。
其の音に反応してか、女性教師のハイヒールのカツカツという音が、此方に向って近付いてくる。――ヤバい…っ! 見付ったら怒られる! 智がそう思った時、突然口を塞がれた。
(しっ! 静かにしないと、見付るわよ。後、ランドセルも隠して…)
智は思わず頷き、音を立てない様、慎重にランドセルを床に置く。其れと同時にドアが開いた。
「……誰も居ないわね。異常なしっと…」
足音が遠去かっていくのを見計って、二人は立上った。智はバッと麻衣の方を向く。先程麻衣の手に触れられた口元が、未だに熱い。
鳴り止まない心臓。顔は赤く、頭からは湯気が出始めている。そんな彼を見て、麻衣は笑みが零れる。
麻衣はポケットに入っていたある物を取出し、智の胸元に押付ける様に其れを渡した。智は視線を自身の胸元に移し、其れを受取ると、目線の高さまで合わせ見る。
「……麻衣ちゃん、此れって…! 」
「要らないなら別に良いのよ。義理チョコだけど、如何する? 」
本命チョコでは無いけど、目的は達成した。智は腕を上げ、万歳をする。麻衣は「ちょっと何してるの? 恥かしくないの? 」と顔を真赤にさせ、恥かしがっている。
さてさて、二人が両想いになるのは何時の事やら…。
初出【2011年2月14日】
一部、誤字・脱字などを修正しました(`・ω・´)❤️




