『詩人さん』の海りんご
ま、単純に
海ぶどうがあるのなら
海りんごだって
あってもいいじゃない
って
強弁したいだけ
『詩人さん』の
詩の描き方にちょっと似てるか?
ただ大きく違う点は
まさしく真逆に
あたしはなんの計算もなく
言葉を書き連ねるだけ、
ってところか
ま、それはいい
海りんごを
想ってみて
なんとか
想い描いてみようとして
なんか
お子さま向けアニメのヒーローみたいな
顔を持った擬人りんごしか
想い浮かばないのだけが
問題だ
しかも、大問題だ
しかも手足までみえちゃうし
しかも服を着てるし
さらにマントもしてるし
なんでなんだろう
ただ
海ぶどうがあるのなら
海りんごだってあって然るべきだ
なんて
そんな安易なバカバカしい発想が
そもそも
なにかの条理に叛いていたのだろうか
神さまの思し召しだとか
死ねば天国へゆけるだとか
叶わない愛は無いだとか
夜はひとを溺れさせるだとか
そんな
無窮の煌めきのなかにしかない
夢のような純真が
ただの
あるべき『海りんご』を
どこかでは活躍してそうな
ヒーローにしてしまっているのだろうか?
な、なんてこと?
なに書いてんだか、わからない感じだ
摂理無窮。
あたしはただなんの損得勘定もなく
あからさまな人生感情だけを頼りに
それに頼り切って
すがり切って
言葉を連ねるものだから
そんな愚かな純情詩人だから(笑)
さみしくないまま生きていたい
だけのものだから
きっと『海りんご』に
正しい救いを求めているのかもな?
絶対に存在しない
奇跡よりも貴い天然果実
『海りんご』
存在しないがゆえの
そのものに対する無条件の憧れ
無期限の許し
無謬のヒーローを夢みる
のかもしれないね
「ゆめなか」の海にて。
なにも、終わらない、ね
なにも、終われない。
だからひとは
歌いつづけるのかもしれないね。
朝も昼も夜も、
朝は早くから昼は熱く熱く
そして夜は
深く、深く、もっと深く
歌いつなぎつづけるのかも
しれないね。
で、
ここまで書いて、だ
いまごろ初めてアタマをよぎる
たったひとつの問い
「ほんとうに、
『海りんご』って、ないんだよな?」
で、
いいっすよねー、ググれるって
1秒かからない
結果が、これだ
古生代のオルドビス紀からデボン紀にかけて繁栄したウミリンゴ綱の棘皮 (きょくひ) 動物の総称。 球形・卵形をし、短い柄で海底に付着。
い、一応、あるみたいだねー、
『海りんご』ってコトバ、
ま、あたしが想い描いたヒーローとは
まるで別ものだから
関係ないっちゃ、関係ないんだけどね
だからあたしの言葉に
論理矛盾はないんだけどね
(ま、このあたりで
ごまかすための口笛なんか
吹いたりして
ヒューヒューヒュー
あ、あれ?
おかしいな
音が出ないぞ)
ま、あたしが描きたかったヒーロー像は
あくまでも
『愛と勇気だけが友達』の
ほかには友達がいない
孤独なさみしげな純情りんごなんだから
同じ『海りんご』でも
そんな
「古生代のオルドビス紀」に
生息していたような化石りんごとは
まるで別ものなんだからねッ!
とまぁ、いつもの事だけど
じぶんの間違いを認めるのが大嫌いな
あたしの逆ギレここに極まれり、の図
こんなところで、よろしいでしょうか?
すこしはお笑いいただけましたか?
むろん、あたくしは
最初っから
知っておりましてよ、海りんご
「古生代のオルドビス紀」
のことだって存じ上げておりましわ
ただ、今朝はお休みなんですけど
すこし早めに目が醒めてしまいましたので
まだ「ゆめなか」にいる
ふわふわした心持ちで
みなさまに軽い笑いを振りまけたなら
それにまさる喜びはごさいませんので
すこし軽めに『ピエロって』みましたの
すこしは
お笑いいただけておりましたら
幸いでございます
それでは今朝はこのあたりで
お別れしとうございます
あたくしはもう一度眠り直しますので
眠ってこの短いようで長い悪夢を
忘れ去ってみせますので
それではみなさま
あらためてお会いできた際には
この『海りんご』は
そういったユーモアのカケラだったと
ご認識していただいておりますように
との夢をみつつ
おやすみなさいませ
な、調子で終わらせるわけにもいかず。
んで。
正調版、海りんご、の詩を一篇。
「海りんごの悲しみ」
それらは、海底にあり
それらは、魚の食事ではない
それらは、獣の食事でもなく
それらは、人の食事でもない
なんのために生まれて
なにを求めて生きるのか
そんなことばかり、考えている
考えている、考えている
考えても、考えても
そういう問いに答えはないというのに
運がよかったら、なにかの僥倖があれば
もしかすれば、みつかるかもしれない
まるで龍王に出会える確率みたいな
稀代の聖者と語れる確率みたいな
それらは
朝も昼も夜もなく
考えつづけているという
それらの名もなきいきものの名を
海りんごと云う
お世辞にも
役に立つとは云えず
やっぱり美しいとは云えず
それら海りんごたちは
同種というだけで
仲良くなどできるわけもなく
ただ生きることを
まるで仕事のように
こなす
燃えるような希望もなく
癒すほどの優しさもなく
ただただ永くは生きつづけるがゆえに
なにもかもをみて来た
なにもかもを識った
ただ生きることを
まるで臆病もののように
生き、生き、生き、つづける
それらの身が
かたくなにおのが死をのぞまないかぎり
生き、生き、生き、生き、つづける
まるで悪夢に怯える臆病な怠惰のように
なんども、なんども、なんども、
繰り返し、つづける
逃げることだけに、肯じえず
悲しみの涙を流したとしても
それを
神さえも
知らずひそりと浮き沈む
さだめの外の海りんごたち